*この記事は2019年12月に発行した雑誌「とさちょうものがたり zine 05」にて掲載したものをウェブ上にて再掲載したものです。「幸福度」による国作りを行う先輩としてのブータンの、価値観や文化を少しでも伝えるために執筆したものを、ウェブサイト上で公開します。
現在でも多くのブータン国民に愛され尊敬されている日本人がいました。
その名をダショー西岡京治といいます。
西岡氏は海外技術協力事業団に所属しブータンで活動した農業技術指導者であり植物学者です。1964年から亡くなる1992年まで一貫してブータンの農業開発分野で指導的な役割を果たしました。
そのブータンでの28年の間に、日本米品種の導入や、高収入が期待されるリンゴやアスパラガスなどの栽培の開始、農業機械センター・種苗センターの整備など、西岡氏の活動は多岐に渡ります。
そしてその活動のスタート地点にはいつでもブータンの人々と徹底的に対話し討論する西岡氏の姿があったそうです。 このページの写真はどれもパロ近郊の旧西岡邸のもの。
とても慎ましやかな、土と共に暮らした西岡氏の生き方が偲ばれます。 別の章にも書きましたが「ダショー」というのは「最高に優れた人」を意味する尊称です。
西岡氏は1980年に第4代ワンチョク国王から授与されました。普通はブータンの「だいぶ偉い人」に授与される尊称で、ブータン人以外に授与された人は、後にも先にも西岡京治氏ただひとりなんだそうです。