「とさちょうものがたり」の連載で、日々の暮らしを綴る笹のいえ。
不思議なもので、笹のいえを訪れるといつもどこか懐かしく、忘れかけていた大切な場所に帰って来たような気持ちになります。それは、歩いている自分の足音を久しぶりに自らが聞くような感覚とどこか似ています。
取材に伺った日、今朝採ったばかりだという、肉厚でつやつやしたしいたけが庭先に干されていました。
蔦屋書店でのイベントの時に何を作ろうかと考えていた子嶺麻さん。
「ちまきはどうかな。しいたけ、もち米、ひじき、人参、大豆か里芋を入れて、竹の皮で包んで蒸す。冷凍庫の栗も入れられるといいんだけどな」
そう話すシネマさんは実に楽しそう。しゅんしゅんと音を立てる大鍋で蒸されるちまきは、美味しいに決まっています。
しいたけは、原木に駒打ちして裏山で育てたもの。
もち米はいただきもの、大豆は畑で収穫したもの。
里芋は、去年の収穫時に畑に転がった芋が芽を出した「ひとりばえ」。
身の周りにあるものや人との関係からいただいたものに少しだけ手を加え、ちょっと新しいものごとがうまれるような笹のいえの営みは、「この地でもずっと続けられてきたこと」と話す洋介さん。
土佐町に来て6年がすぎ、色々な思いも交錯するそうです。
遠くに住む両親のこと。
これからもこの場所を維持していけるのかどうか。
どこまでやれるのか、どこまでやるのか。
どこにいようと、どんな暮らしをしようと、それぞれの人が個別の複雑さももって生きているのだということをあらためて感じます。
洋介さんとの会話は、いつも頭の片隅にあるそういったことをあらためて考えるきっかけを与えてくれます。
蔦屋書店のイベントでは、千葉県にいた時に漬けた「10年ものの梅干し」も販売します。(本当は13年くらいたっているけど区切りがいいから「10年ものということで」と子嶺麻さん)
他には四方竹のキムチも。友人の畑のサツマイモと落花生の収穫を手伝った時に「四方竹持って行きや〜」とたくさんお土産に持たせてくれたのだそうです。皮をむいて茹で、干した四方竹のキムチ、楽しみです!
笹のいえから生まれた美味しいものたちを、ぜひ味わってくださいね!
料理研究家である子嶺麻さんの本の販売もあります。
*16日は「笹のいえ」の洋介さんと子嶺麻さんは滞在しますが、17日(日)は物販のみになります。
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