「椎茸取り放題、カゴを持って取りにきいや!」
山の師匠である、土佐町栗木地区の近藤雅伸さんが連絡をくれました。
11月、たくさん雨が降った次の日に次々と椎茸が生えだしたそう。
早速、近藤さんの山へ向かいました。
ひんやりと湿気を帯びた小道をあがり、すぐに見えてくるのはずらりと並んだ椎茸の原木群。原木は、近藤さんの山のナラの木です。原木が並ぶ横には水路があり、山からの水が絶え間なく流れています。
「椎茸は3年仕事」といいます。近藤さんは、一体どのように椎茸を作っているのでしょう?今日に至るまでの作業を聞きました。
・一昨年(2019年)の秋、ナラの木を切り倒す。そのまま山に置いておき、使う大きさに玉切りする
・次の年(2020年)の春、ドリルで原木に穴を開け、椎茸の菌が入ったコマをうえる。夏の間、日陰で寝かす。
・その年( 2020年)の秋、現在の場所に原木を立てる
・それから一年後(2021年)、収穫を迎える
まさに3年仕事!長い月日と手間をかけて、椎茸ができるのです。
ナラの木は長持ちするので、3〜4年間ほど、秋から春先まで椎茸が収穫できるとのこと。
土佐町に来る前は、椎茸は「スーパーで袋に入ったものを買う」ものだと思っていました。でも土佐町に来てから「椎茸は育てるもの」なのだと知りました。周りに育てている人がいて、その方法を見せてもらうことで、当たり前に思っていたことは決して当たり前ではなかったことを知りました。それは、ものの見方や価値観をひっくり返されることでもありました。
原木が太いほど、肉厚なしいたけができるのだそう。内側のひらひらした部分があるものが新鮮な証拠です。
こんなにたくさん取れました!
干し椎茸にする場合は、茶色の傘の部分を上にして干すと良いそうです。椎茸の水分が下に行くので早く乾くとのこと。なるほど!
夜に早速、椎茸の肉詰めを作りました。塩胡椒して生姜を加えたひき肉を詰め、こんがりと焼きます。にんにくを漬けた醤油でいただきました!椎茸がジューシーで、一口ごとにぽたぽたと汁が溢れるほど。あ〜、箸が止まらない!
いただいた椎茸とえのきで「おかずきのこ」も作りました。昆布、お酒、みりん、醤油で椎茸とエノキを煮て、しょうがのすりおろしも加えました。ごはんのお供です。
薄く切って袋に入れ、冷凍しておくと、味噌汁の具や炒め物に使えて便利です。
近藤さんは「椎茸が一年中取れたらいいんやけど」と言っていました。でもきっと、ある期間にぎゅっと凝縮してとれるものだからこそ、人間は頭を捻り、一年中保存できる方法や味わい方を考えるのでしょうね。
近藤さん、ありがとうございました!また山の知恵を教えてください!