シュウカイドウは8月頃から咲き始めます。
果実になるのは10月半ばのことで、見る者を長い間楽しませてくれる花です。
春に咲くバラ科の海棠(カイドウ)という落葉樹の花に似ていて、秋に咲かせることからついた名前だと言われます。
シュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア属ともいう)の多年草で、園芸品種のベゴニアの仲間です。
草丈30~70㎝で、林床など湿り気のある半日陰に生育する中国原産の帰化植物です。日本へは江戸時代に観賞用として渡来し、各地で栽培されたそうです。
今は野生化して元々日本にあったかのようにあちこちに繁茂しています。
土佐町地蔵寺の平石川沿いのスギ林に群生するシュウカイドウを見に行ってきました。
景観といい、見応えといい、観察するになかなか良い場所です。
ピンク色の花弁と球状に集まった黄色い雄しべが目立ちます。これが雄花(おばな)です。
雌花(めばな)は小さな三角状の花で、子房が膨らんでいるのが分かります。
果実になりかけている株もあります。間もなく花期が終わるのでしょう。
インターネットで検索していて知ったことですが、シュウカイドウは秋になるとムカゴを付けるそうです。
探すまでもなく葉のつけ根毎に小さなムカゴがくっついているのが分かります。
ムカゴは栄養繁殖器官ですから、これが成長して地面に落ち、新しい株をどんどん生やすのです。
道理でシュウカイドウが繁殖力旺盛なはずです。根で増え、種で増え、おまけにムカゴでも増える訳ですから。
更にもう一つ興味深い情報がありました。
秋海棠(しゅうかいどう)西瓜(すいか)の色に咲きにけり ~松尾芭蕉~
直訳すれば「秋海棠の花がスイカの実のような紅い色で咲いている」ということですが、シュウカイドウもスイカ(アフリカ原産)も江戸時代に中国から渡来したもので、まだ市井には定着していない状況で敢えてこの句を詠んだ芭蕉の真意は? というものです。
気になる方はどうぞ調べてみてください。