ここは、土佐町森地区。地区内にはコンクリートで作られた水路があり、いつも清らかな水が流れています。
ある日、水路をのぞき込んでいる男性がひとり。何をしているのか聞いたところ、「水門を開いていた」とのこと。
水路の流れに葉っぱや木の枝がたまっていたから、水門を開けて流していたのだ、と。
その人は、近所に住む西村宣男さん。手にはオレンジ色のハンドルを持っていました。「水利組合のもんで、当番制で管理している」と話してくれました。
水路に並行するように作られたコンクリートの壁には鉄棒が付けられており、ハンドルを回すと鉄棒が上へ上がり、壁も一緒に持ち上がります。このコンクリートの壁が水門になっており、ハンドルを回すことで水門を上げ下げをし、水の行き先と量を管理しているそうです。
台風など大水の時は水門を開け、「しも(下)の川へ流れるようにする」。
夏、田んぼに水が必要な時は水門を閉め、森地区の田んぼに水が行き渡るようにするのだと話してくれました。
「この水路は野中兼山がつくったんで。すごいろう。駒野地区の上(かみ)から、田井地区まで続いている」
昔、この水路は土手と岩でできており、夏は蛍が飛び交っていたそうです。早明浦ダムができた頃、水路はコンクリートになり、蛍は見えなくなってしまったと言います。
土佐町の中には、あちこちに水路があります。それだけ山からの水がゆたかなのだと言えます。その水の流れを熟知し、管理している方たちがいるからこそ、日々、清らかな流れがそばにあるのです。