「くろて団は名探偵」 ハンス・ユルゲン・プレス著, 大社 玲子訳 岩波少年文庫
確か4年ほど前だったでしょうか。この本と出会った時の驚きを何と言い表したらいいのでしょう。
本屋さんの児童文学コーナーをうろうろしていた時、目に入ったこの表紙。
「あ!」
思わず出た自分の声に驚きながら、この本を開きました。
「やっぱり!」
確かに見覚えがありました。何度も何度も読んだ、私が大好きだった本でした。
「くろて団は名探偵」との初めての出会いは小学生の頃。学校の図書室にあったこの本が、図書室の本棚のどこにあったかまでも覚えています。図書室にあったものはハードカバーで、これよりもふた回りほど大きな本でした。
今でいう「ゲームブック」のようなものと言ったらいいでしょうか。
お話を読み進めて行くと、いつも最後に質問があって、その質問の答えを隣のページの絵から探すのです。
2枚目の写真の絵、「さいころ形のもの」を持っているのは「かもしか薬局」の「薬剤師のハーン氏」。
ああ、懐かしい絵。
確か、秘密はハーン氏の持っている本にあったはず!!!
私はそんなことまで覚えていました。
小さい頃に夢中になったものごとは思っているよりもずっと長く、ずっと深く、その人の心の中に残っていくのだと思います。
こどもたちは幼ければ幼いほど、自らの環境をつくることはできません。そう思うと、子どもの周りにいる大人たちがどんなことを大切に思っているのかが問われるように思います。
見た目や流行、そういうことではなく、人として「本当に」大切なことは何か。
懐かしいこの本が、色々な思いを運んできてくれました。
鳥山百合子