2019年1月22日。下田さん滞在2日目の今日は、土佐町芥川へ。
山師の筒井順一郎さんに会いに行きました。
まだ霜柱が立つ山道を登り、順一郎さんは普段仕事をしている山を案内してくれました。
木を見上げ「生活のために植えた木が、切ってくれ、と言いゆう。木を見ちょったらわかる。木を切ると、残った切り株の栄養が周りの木に行き渡り、木が育つ。切り株はスポンジ状になって雨水をゆっくりと吸い込み、山の保水力を高める」と話してくれました。
順一郎さんはさながら山の哲学者のよう。
「仕事がないないと言う人もいるけんど、そうじゃない。自分で仕事はかまえるもんや」
合鴨農法でお米を育て、アメゴを飼い、山の木を切り、製材もする。しきびを育て、こどもたちに木工を教える。昔から山の人は、いくつもの仕事を組み合わせて生活を作ってきたのです。
下田さんは「順一郎さんの話だけで、一冊の本が作れそう」と話していました。
山道を進み、上ノ越へ向かいました。標高600mのこの場所からは、それは見事な山々と雲海が見えるのです。
上ノ越の最後の住人だった川村英子さんの家を訪れました。英子さんは2年前に亡くなりましたが、家はまだこの場所で静かに立ち続けています。
山をおり、地蔵寺地区の長野商店を訪れました。店主の長野静代さんにさば寿司の作り方を教えてもらいました。
長野さんは前日からさばをさばき、柚子酢につけておいてくれました。
寿司飯を詰めたさばは、ぷりぷりとピカピカと光ってなんとも美味しそう!
下田さんもさば寿司づくりに挑戦!
このお店で40年作り続けてきた長野さんが「こんな風に下田さんが来てくれて、本当にうれしいねえ」としみじみと話してくれました。
この日の最後は土佐町小学校へ!
一輪車に乗っていた女の子が「下田さんや!」と遠くから走り寄って来ました。一昨年の秋に下田さんと一緒に絵を描いた子です。その時よりも大きくなっているけれど、下田さんのことをしっかりと覚えているのです。
あっという間にこどもたちに取り囲まれる下田さん。黒板に絵を描きながら、「サインして!」「絵を描いて!」のリクエストに応えます。
自分のノートに絵を描いてもらって大事そうにノートを抱えるこどもたちでした。
「土佐町の絵本づくり」。
さて、どんなかたちになっていくのでしょうか。まだまだこれからですが、ちょっとずつ、ちょっとずつ、道ができている。そんな気持ちがしています。