「園芸家12ヶ月」 カレル・チャペック 中央公論社
高知新聞2019年5月30日から、いとうせいこうさんの「日日是植物(にちにちこれしょくぶつ)」というタイトルで、ご自身の園芸観についての連載が始まりました。
その中にカレル・チャペック著「園芸家12ヶ月」の紹介があり、ハタと「確か家にあったような…」と捜してみると…ありました。再読しました。
チャペックさんはヒトラー専制の時代に苛烈にファシズム(独裁的な権力、弾圧と制御による思想・体制のこと)を批判し、当時のゲジュタポ(独の秘密警察)に捕われる前に、その鼻を明かすように亡くなっていました。同時にひたすらストイックに植物について著し、煮えたぎる情熱と静かな湖面のような「熱湯とそよ風の精神」を持った混乱するチェコに生きたジャーナリストであり、作家であり、趣味の多才な人でした。1929年に著されたようです。只の「園芸について」だけの本ではありません。
挿画は実兄のヨゼフ・チャペック氏(1889~1945)です。
高知新聞のいとうせいこうさんの連載の挿画は里美和彦さん(1957~高知市在)です。里見さんは同じく高知新聞の水曜日に「定年のデザイン」というタイトルで文とスケッチを連載されています。文章は大変読みやすく、興味深く、情景の浮かぶ素晴らしい連載です。新聞が待ち遠しく、楽しみが増えました。(また、木曜日には「おじさん図鑑・おばさん事典」が連載されており、これまたおもしろいです)
今回は高知新聞の紹介になりましたね。植物を愛する気持ちはどこの国民も同じです。
牧野植物園(五台山・佐川町)へも行きたくなりました。
藤田英輔