「心ふるえる土佐の味」 小島喜和 高知新聞社
高知県出身の小島さんが“K+”というフリーペーパーに連載した高知県の料理の数々、お母さんの味が詰まった一冊です。
小島さんは高知県の海沿い町で育ったとのことですが、山沿いのこちら土佐町の食卓にのぼる料理や食材も色々登場します。海沿いも山沿いも、「高知」という土台でつながっていることを感じます。
きし豆茶、東山、リュウキュウと茄子の酢の物、四方竹と油揚げの煮物…。
中でも驚いたのは「冬苺の三角寿司」。ちょうど11月頃から日陰に実る赤い冬苺。子どもたちはこの苺が大好きで、手のひらにいくつか集めてから一気にパクッと食べる、甘酸っぱい冬苺。その葉っぱを使ったお寿司があるなんて知りませんでした。冬苺の葉で寿司飯を包むそうですが、こうすることで葉の表面にあるチクチクとした小さな棘が、すし飯が崩れぬよう守ってくれているのではとのこと。なるほど!どんな味がするのかな?今度冬苺を見つけたら葉っぱにも注目してみようと思います(表紙の写真が「冬苺の三角寿司」です)。
それからもう一つ「新生姜の天ぷら」!夏の新生姜をスライスして粉とあえて揚げるだけ。なんて美味しそうなんでしょう!来年の夏、試してみようと思います。
その土地ならではの食材や調理方法を知ることは、ちょっと新しい自分になるようでとてもうれしい。
高知の食材のゆたかさに出会うたび、高知県に来て良かったと感じています。
鳥山百合子