「風の谷のナウシカ」 宮崎駿 徳間書店
ご無沙汰しておりました。
久方ぶりの登場のゆかりでございますよ。
いやー、なめてました。難産でした。全然スピーディーに書けなかった。ごめんなさいです。
さて前座。
突然ですが、母はのび太くんです。世界うたた寝選手権に出場したら、優勝候補筆頭です。車に乗って5分でチン。夜に今の今まで笑っていたはずなのにチン。私がいつまでたっても就寝しに行こない母を心配して、人がダメになるソファ(By無印○品)で完全にダメになっている枯れ木というかナナフシ(もとい母)を、ちょんちょんとつつくと「はひっ」と母が人間として目覚めます。テレビも大抵NHKがつけっぱなしなので、アナウンサーの声がよっぽど眠りに適しているのかな…とも思います。(いいのかそれで…)。ですがそのおかげで、思わぬ面白い(interestingの方)テレビ番組に出会うことがあります。
ジェリーフィッシュブルームという言葉を聞いた時、「あ、ナウシカを書かなければ!」と私は強く思いました。時々こういう時があります。何かを見たり、体験したり、感じたりした瞬間、書かなければ!
と近くにある何かに書きつけ始める。もはや衝動買いに近いかもしれません。
ジェリーフィッシュブルームとはざっくり説明すればクラゲ類の大量発生です。9月9日水曜日の夜半、私はぼっ~っと、(美容に気を使ってオリーブオイルをinした←ここ大事)コーンスープを飲んでいました。その時に母が白目をむいて見ていたのが「又吉直樹のエウレーカ」の再放送で、テーマが”クラゲ”でした。クラゲと言えば海水浴でお世話になりますよね。私も小学生の時に痛い目にあいまして、”やっぱり川が好きだ…トホホ”と思ったことでした。それにエチゼンクラゲの大量発生、聞けばすぐに思い出すインパクトでした。定置網を埋め尽くすエチゼンクラゲ。頭の中の画像検索で、ジャニーズのイケメンを検索した時より、ずっと早くヒットしました。クラゲの中でエチゼンクラゲほど憎いものはいません(カツオノエボシは除く)。魚好きの私にとって許し難いものです。商品に毒の影響はありませんが傷を付け商品価値を下げ、漁師さん達の苦労を倍増させ、仲卸や魚屋さんにダメージを与え、日本人の魚離れをすすめたアヤツは許し難い!!!!(魚が好きすぎて、大学のインターンシップで魚屋、上町池澤本店さんに行った人なので、魚大好きです (笑)。またこの魚屋さん、元々IT企業に務めていた人が4代目の社長でマーケティング等学べることも多く今も親しく?させてもらってます)
ヤツの名は、日本名はエチゼンクラゲ、学名Nemopilema nomurai、英名Nomura’s jerryfishという大型で毒性の強いクラゲですが、類似のビゼンクラゲは食用になります。大量発生と激減を繰り返し、未だに謎の多い生き物です。しかし、海洋生物のその多くの生態は完全に分かっているものの方が少ないでしょう。特にクラゲ類は淡水から汽水域、沿岸域、外洋、浅瀬、深海といった場所に類似する種が無数にいます。そして単体で1つのクラゲであったり、群体でそれぞれのクラゲが役割分担をし、ひとつのクラゲの形になったりします。
そもそもクラゲ類は生態ピラミッドの下位にいるものです。それが大量発生するとどうなるか。普通に考えれば生態ピラミッドですから、順々に増えて行くのが妥当なのです…が。ピラミッドの上位群が、圧倒的に数が減っていた場合は別です。ある生き物が海の生態ピラミッドの上位群を回復が不能なほど減らしてしまったのです。生態ピラミッドの下位群が上位群に適切に消費されることなく増え続けることで、生態系のバランスは加速度的に悪化します。さて、この生態ピラミッドの上位群を減らしている生き物、なんでしょうね?
お約束の前フリですから、もちろん人間です。学術的に言えば”ヒト”学名”Homoo sapiens”。我々ヒトとクラゲは意外と似ています。増殖力、細密な役割分担で生きていると言う点、様々な環境に順応する適応力、一人では割と何も出来ないところなど。
人間は河川や海を汚染し、富栄養化してしまいました。更にマイクロプラスチック。この小さなプラスチックが、ジェリーフィッシュブルームと大きな関わりがあるとご存知で?クラゲの幼生であるポリプは、岩礁や海に漂う藻に活着して無性生殖を行い増えていきます。ポリプにとってマイクロプラスチックは非常に活着しやすくしかも様々な場所にあってえ浮遊している、まさに鴨がネギ背負って鍋抱えてきた状態です。その為にクラゲの大量増殖に一役買ってしまっているのです。更に7月1日から有料化された、ビニール袋。我が家としては部屋のゴミ袋をわざわざ100均で買うなんて…という気持ちですが、海への不法投棄によって、海流に乗って多くの島々に流れ着き、更に、鳥やクジラ、ウミガメなど多くの生き物に多大な被害を与えているのなら話は別です。ビニール袋や、乱獲や気候変動等によって、生態系ピラミッド上位陣はなお減り続けているのです。
家族会議でマイバックを配っていたとき私は、「わざわざビニール有料にして、捨てる人減るわけ??捨てる人は有料でも捨てるやろ?迷惑やわ~」と言ったのですが、そこで一言父が「そりゃちがうわ、うちの国道ぶちの田んぼも毎回ビニール袋にゴミ放られちゅうけんど、ああいうのは減っていくわえ。タダやきぽんぽん捨てるがやき。」と言ったのでした。確かに国道沿いの田んぼには、よくゴミが捨ててあります。来年の代かきの時に、はっきりわかるでしょう。
さて、今までのが前フリですからここから本題に入ります。
「風の谷のナウシカ」の生態ピラミッドはどうなっているのか?やはり最上位には王蟲(草食のようですが…)が来るのが明白です。その下にその他の蟲、下位層が分厚く腐海の植物になるのでなないでしょうか。それに対して、腐海の侵食していない、旧世界の生態ピラミッドもあるでしょう。それの頂点はもちろん人間になります。総合すると王蟲を頂点とする生態ピラミッドの下位に丸ごと人間を頂点とするピラミッドがすっぽり入る感じでしょうか?複雑すぎますね。(さっぱりわかんなーーい!By心の声)森の人という例外もいますし、人類がピラミッドでどの辺にくるのかは、国や民族によって変わってもくるようです。
5巻でのキーマンは粘菌です。土鬼の研究者によって、墓所の技術により、父なく母なく産み出されました。この突然変異体である粘菌は、生まれた時から人類から敵意を向けられ、憎しみと恐怖の感情しかありません。ひたすらに不安を感じ、1つになろうとしています。ナウシカは4つある粘菌の大群体を観察し進路を割り出す最中、土鬼の人々の死体が累々と山積しているのを見てきました。ナウシカは人の愚かさと、二昼夜飛び回った疲れから寝てしまうのでした。その時虚無の影がナウシカを襲います。ナウシカは振り払いますが、それを手伝ったのは王蟲でした。すぐそこにまで王蟲が来ていることを悟ったナウシカは飛び出していきます。そして、彼らの目的が粘菌の憎しみと恐怖を鎮め、ひとつの森になる事だと気が付きました。ナウシカは王蟲と哀れな粘菌と共に、最後を共にすることを決めたのでした。
高山で休憩しているシーンが何とも静かで、1種の異様さを醸し出しています。そこに現れるのは森の人。森の人は全てを知っているかのように、ナウシカを最後のフライトへ送り出します。
腐海の胞子を撒き散らしながら進む王蟲の大軍はまさに圧巻。その中にナウシカは見覚えのある姿を見つけます。酸の海で出会った立派な王蟲です。ナウシカは”このひとに見覚えがある”といっています。彼女にとって、王蟲たちは限りなく人に近い身近な存在であることが伺えます。対して、人類の愚かさに涙を流します。己も血まみれで、死体の山に立っている一人であることに、深い虚無を抱きます。だからこそ、最期は王蟲と共に森になろうと体に舞い降りるのです。
腐海の植物の菌糸に覆われ、見えなくなってしまった王蟲の瞳。ナウシカは菌糸を剥がします。現れた王蟲の瞳は攻撃色の赤ではなく、深い青でした。
”王蟲達は怒り狂っているんじゃない”
”大海嘯は、愚かな人間への罰でも復讐でもなかったんだ”
”王蟲は大地の傷口を癒そうとしているだけ”
ナウシカは自然のサイクルとして王蟲たちの行うことのことの大きさに圧倒されているようでした。
王蟲の体からは腐海の植物が発芽し、ナウシカの乗っていた彼も命の光を失いつつありました。”わたしもいっしょに行くね……”。大地を埋め尽くす王蟲達も外側から粘菌に捕食されてゆきます。その中で、王蟲はナウシカが、共に最期を迎えることを良しとしませんでした。まるで、まだ何か彼女に託したものがあるかのようです。
そしてナウシカは、生と死の狭間に取り残されることとなります。(超常の力を持つチチクはそれを感じとり、ナウシカのいない、震える一夜を過ごすこととなるのです)
さて、今回はここらへんで!次回も難産なよ・か・ん。(ごめんなさ~い(涙))6~7巻辺りを書けたらいいかなと思います。
最後に、末文になりますがお許しください。
いつまででも収束せず混乱を招いているCOVID-19、更にこれから増えてくるインフルエンザやノロウイルス。医療従事者の方々、保健所の方々、教育現場の方々、各種接客業の方々、老人福祉施設の方々、戦場の最前線に立たれている皆様に心からの敬意と、感謝を。いま苦しい立場にいる人々にエールを。
それでは、また。