春野の郷土スイーツ「あたらしや」
2021年1月から2月にかけて高知県内9市町村の郷土料理を撮影し、製作した動画をご紹介しています。
第二回目は、高知市春野町で作られている郷土料理「あたらしや」です!
作・どんぐりのタイトル
「あたらしや」という冒頭のタイトル、動画中にある「作り方」の文字を描いてくれたのは、土佐町の障がい者支援施設「どんぐり」のメンバーさんです。
まだ冬の寒いある日、別の作業の合間にみんなでワイワイ言いながら、たくさんの文字や絵を描いてくれました。
「あたらしや」の語源
「あたらしや」はだんご粉を蒸して練り、あんこを包んだお菓子です。おもちに杯台や切子ガラスなどで模様をつけ、その上に3色に色をつけた小さなおもちを飾りつけます。昔から、親戚や近所の人たちが集まるお祝いごと「おきゃく」がある時に、皿鉢料理の一品として作られてきました。
どうして「あたらしや」っていうのでしょう?
あたらしやを作ってくれた「とら巻き&あたらしやの会」の土居三千代さんが、こう教えてくれました。
「おもちがすぐに硬くなってしまうから、皿鉢料理の一番最後に作る。だから、“あたらしや”っていうのよ」。
皿鉢料理とあたらしや
動画中、皿鉢料理にあたらしやを盛り付けるシーンがあります。さばの姿寿司や里芋のきんとん、トマトの羊羹などが盛り付けられた皿鉢料理は、撮影のために、土居さんや春野町のお母さんたちが私たちに内緒で用意してくれていたものです。
撮影の前日、土居さんと電話で話した時「明日、びっくりさせようと思って秘密にしとこうと思ってたけど…、みんなと相談して、皿鉢料理を用意してるから!皿鉢料理があったら、あたらしやが映えるかなと思って。あ〜〜、言っちゃった!」とお茶目に笑っていた土居さん。その気持ちがほんとうに嬉しかったです!
あたらしやに付けられた模様
あたらしやの特徴は、おもちの表面に模様をつけること。ひとつずつに模様をつけるのは、なかなか手間のかかる作業です。模様をつけたからといって味が変わるわけではないけれど、でもあえて、そのひと手間をかける。そのひと手間が、「あたらしや」があたらしやたる所以です。
模様をつけられたおもちたちが、静かに、そして誇らしげにそこに在る風景は、とてもいいものでした。