「よあけ」 ユリー・シュルヴィッツ作・画 瀬田貞二訳 福音館書店
かなしいかな、わたしは両親に絵本を読んでもらった記憶がない。 きっと読んでもらったことは絶対にあるはずなんだろうけど、記憶がないのだから仕方がない。 だから、絵本の世界の楽しさを知ったのはわが子をもってから。
おそまきながら知った絵本の世界は、たのしくも美しくもあり、そのすこしの文章と魅力的な絵のシンプルさに度肝を抜かれた。
詩集も絵本も想像力を掻き立てる。 すこしだけのことばと絵。 その圧倒的な情報量の少なさに焦りすら感じる。
この「よあけ」もまた、ただおじいさんとその孫が湖のほとりで一夜を明かすだけの物語なのに、ひとつひとつの場面が静かで美しくて豊かな時間が流れているのが伝わってくる。
いいなぁ、こんなの。
ただそれだけの感想しか浮かばない。