高知市で開かれている「土佐の日曜市」に月に一回ほど出店し、「鹿の角ガチャ」を販売しています。いつも、ガチャの機械の横には、猟師さんにもらった鹿の頭の骨(角付き)を置いています。市を行き交う人が、鹿の頭の骨に一瞬驚き、「鹿の角ガチャだって!」と言っているのが聞こえてきます。
その骨に寄ってくるのは子供たち。こんな時には「持ってみる?」と聞いてみます。今だかつて、断った子供はいません。子供たちは恐る恐る手にして、はにかむ。「重い…」。言葉は少なめ、そして丁寧に骨を返してくれる。なんとも可愛らしい。
「山を駆け回っていた鹿の骨だよ」と言うと「本物?」。
「そう、本物だよ」。
へえ〜〜〜…、という表情。ちょっと大きい子は「すげえ!」。
こんなやりとりを今まで何度もしてきました。子供の率直な言葉を聞いて「そうだよね、“すげえ”ことだよね」と再確認します。
山に鹿がいて、猟師さんがいて、捕まえて、時には肉を食べ、骨や角が残る。その角を私たちがいただいて、作っているのが「鹿の角ガチャ」です。この土地で培われたきた循環があってこそ、できることです。
いただいた鹿の角を切り、穴をあける。紐を通し、御守り紙を折り、カプセルに入れる。これが障がいを持った方のお仕事になっています。小さいけれど、確かなお金の循環も生まれています。
大きな町に住んでいると、山の鹿を目にすることも、本物の骨を触る機会もなかなかありません。かくいう私もそうでした。鹿の骨、鹿の角、鹿の肉なんて、目にしたことも触ったことも食べたこともありませんでした。
情報が行き交い、パソコンやスマホの画面上で何でも見たり聞いたりできる時代、その恩恵に私もあずかっています。が、それで全てをわかったような気になっていないでしょうか。はたとそんな自分に気付き、愕然とする時があります。でもそんな時、周りにある「本物」が、私の目を覚ましてくれます。
この土地だからこそ、できること。本物があるからこそ、できること。私たちにとって、その一つが「鹿の角ガチャ」です。
*鹿の角、募集しています!!
もし不要な鹿の角がありましたら、ぜひご連絡いただけたらありがたいです。
取りに伺います!