「小さなまちの奇跡の図書館」 猪谷千香 ちくまプリマー新書
図書館運営で一番の課題は「読まない人」「本に関心のない人」に、図書館に来てもらうことです。その課題を克服し、「読まない人も行く図書館」となり、市民に愛される図書館となった鹿児島県指宿市立図書館。
どこにでもあるような、小さな町のさびれた小さな図書館が、ライブラリー・オブ・サ・イヤー他の名だたる賞を受賞する図書館に成長するまでの過程が丁寧に書かれた本書。市民の居場所となるための図書館づくり等を目的として図書館サービスを拡充させていく経緯は、とても興味深く参考になりました。
図書館学者ランガナタン博士の五法則「①本は利用するためのものである ②いずれの人にもその人の本を ③いずれの本にもすべてその読者を ④読者の時間を節約せよ ⑤図書館は成長する有機体である」にもあるように、図書館はすべての人にとって開かれ、必要とされている知識を提供する場所です。
そして地域のコミュニティースペースとして、人が安心して集える場所でなければなりません。そういう図書館を目指さねばと反省しつつ、伸び代はまだまだあると自分を鼓舞しながら読んだことでした。