
イチリンソウ
キンポウゲ科イチリンソウ属。
イチリンソウは春先に咲くスプリング・エフェメラルの仲間です。
Spring ephemeralというのは、春の一時期にのみ地上に姿(葉や花)を現し、夏の緑が茂る頃には姿を消してしまう草花のことです。直訳すると「春のはかないもの」「春の短い命」というような意味だそうで、「春の妖精」とも呼ばれます。
同属のユキワリイチゲ(雪割一華)もその仲間です。両者とも島国の日本独自の環境に適応した植物で、外国には自生していない日本固有種です。
ユキワリイチゲを記事にしたのが今から3年前。
その頃、土佐町ではイチリンソウの自生地がまだ見つかっていませんでした。
隣接する本山町にはイチリンソウの群生する場所が何カ所もあります。緑の葉の上に直径3~4㎝の白い花が飛び出て咲く光景は美しく、土佐町もどこかにあるのではないかと探し回ったものです。
田井地区のユキワリイチゲの咲く場所の近くでイチリンソウを見つけたのは去年のことです。それから一年、今回はこの土佐町のイチリンソウを記事にします。
4月上旬のイチリンソウはまだ蕾でした。
茎につく葉は3個が輪生し、3出複葉で小葉は細かく深裂しています。
萼(※がく)がうっすらと紅に色づいています。
日がたつにつれ、紅色の萼は5~6個に分裂して白い花びら状になります。
ウラベニイチゲ(裏紅一華)という別名がありますが、その由来は花の裏側が紅色の1輪の花という意味です。
イチリンソウは1茎に1輪の花を咲かせることからついた名前ですが、まれに2輪つける個体も出現します。
花が開いてくると、緑色の葉っぱの上に白い花がちょこんと飛び出てきます。
ここではまだ数えるぐらいしか咲いていませんが、目立ちます。
イチリンソウは多年草です。
種子繁殖もしますが、地下にある根茎からランナーを出して子株を作って増えていきます。環境に大きな変化さえなければ、土佐町でもどんどんとその数を増やしていくのではないでしょうか。
かたわらのユキワリイチゲは、花の時期をほぼ終えていました。

ユキワリイチゲ
※萼(がく):花の最も外側の部分で、つぼみの時は内部を包み保護する役目をする。イチリンソウの花には花弁がなく、萼片が花弁のように見える。
土佐町にも咲いてます。