はじめましてのかたも、ご存知の方もこんにちは!
荒木映里奈と申します。
今日は、連載タイトル『香炉峰の雪は簾を撥げてみる』(こうろほうのゆきはすだれをかかげてみる)について書かせていただこうと思います。
この言葉をご存じの方もいらっしゃいますでしょうか?
長いし、漢字多いし、意味不明、という感じでしょうか?
この言葉は、『枕草子』の一説に出てくる有名な一説「雪のいと高う降りたるを」にでてきます。
大雪の日に、清少納言たちが炭火をおこして部屋でまったりしていたら、
中宮定子が「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ」と問いかけます。そうしたら、清少納言が御簾を高く巻き上げてみせて、みんなが「おおーーっ」と感心した、
という清少納言の自慢話です(笑)
なぜ「おおーーっ」と感心したのかというと、
中宮定子は中国の有名な詩人である白楽天(白居易)の有名な漢詩の一説を引用しました。
それが「香炉峰の雪は簾を撥げてみる」という1パートで、
定子は御簾をあげてほしかったんですが、ちょっとウィットをきかせて
「香炉峰の雪は?」と遠回しに言って見せたのですね!
そうしたら、清少納言がそれをくみ取ってちゃんと御簾をあげてくれた、ということです。
現代でたとえていうと、家族で車に乗っていて、ガソリンがなくなりそうだな~と思った助手席のお母さんが、運転している旦那さんに「心を満タンに~♬」と歌いかけたら、
旦那さんがコスモ石油に連れてってくれたというような感じです。
雪がたくさん降っていた日に大屋敷で、すだれカーテンの前に立って、
「香炉峰の雪は!?」と皆に問いかけたところ、みんな「????」(荒木さん大丈夫か??)となって、一人で簾カーテンをあげながら「簾をかかげてみるんですよ~~~」
と言いながらこのエピソードを説明した苦い経験があります。(笑)
学生の頃に授業でこの一説を勉強して、「香炉峰の雪は簾を撥げてみる」とは何と美しくてきれいな音と表現なのだろうと感動して、今に至るまでずっと覚えていました。
とさちょうものがたりの連載タイトルを考えたときに、ふとこの一説が思い浮かんだのでこの白居易の原文を調べてみました。
―――
<原文>
香炉峰下、新たに山居を卜ぼくし、草堂初めて成り、偶たまたま東壁に題す
日高く眠り足りて猶なお起くるにもの慵ものうし
小閣に衾しとねを重ねて寒さを怕おそれず
遺い愛あい寺じの鐘は枕を欹そばだてて聴き
香炉峰の雪は簾を撥かかげて看みる
匡きょう蘆ろは便すなわち是これ名を逃のがるるの地
司馬は仍なお老いを送るの官為たり
心泰たすく身寧やすきは是れ帰きする処ところ
故郷 何ぞ独り長安にのみ在あらんや
<意訳>
日は高く昇っているが、布団の中で、遺愛寺の鐘が響くと枕をずらして耳を澄まし、香炉峰の雪は簾を跳ね上げさせて眺め入る。ここは、俗世間から離れ住むにはふさわしい土地で、閑職とはいえ心が安らかであれば、それ以上何を望むことがあろう。長安だけが故郷ではあるまい。
当時の中国は科挙をベースにした官僚制度をとっており、白居易はエリート官僚でした。
しかし左遷されて、景勝地である香炉峰のふもとに新居を構え、その時に詠んだ歌がこの歌というわけです。
これを見たときに、いわゆるエリート街道を離れて土佐町にやってきて、日々自然の美しさや人のやさしさに感動しているわたしにぴったりじゃん!と思い、
この連載タイトルにしたという運びです。
昔も今も、まったり感を求める人のこころは変わらないのだなあ~と思いました。
逆に、わたしの友達で超ド田舎に生まれて、
幼いながら「なんでこんな田舎に生まれちゃったんだろう…」と思い、
大学以降は東京に出て日々都会暮らしをエンジョイしている子もいます(笑)
なので、田舎こそが素晴らしいものなのだー!とは思いませんが、
都会せかせかエリートルートも知っているからこそ、
この土佐町の魅力が一層みにしみるなぁ、ということで、この連載タイトルにしました。
みなさま、引き続き、よろしくお願いいたします!





