田岡三代

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

田岡三代

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「寂聴 九十七歳の遺言」 瀬戸内寂聴 朝日新書

「私なんか何もない」などと思わないで下さい。
全ての人にその人にしかない才能が、必ず授かっています。
何もなくても、笑顔は作れます。

「和顔施」 和やかな顔を相手に与えなさい。
「忘己利他」 自分のためじゃなくて、自分以外の人の幸せのために生きなさい。
人間は苦しんだ分だけ、愛の深い人に育っていくのです。

などなど、生きる極意のような言葉がちりばめられています。

97歳になってもなお、文筆活動が楽しくてたまらないという寂聴さん。その穏やかな悟りに至るまでには、さまざまな苦しみや悲しみ・楽しみを昇華させてきたのでしょうね。

久しぶりに、「生きていくという事」への想いを見つめてみました。

田岡三代

 

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ほのぼのと

わら縄作り

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私の同級生、千枝さんの小学校低学年の頃のお話です。

まだビニール紐など無い時代。

みんなそれぞれの家庭が、稲わらで縄を作っていました。

その当時、千枝さんの家には、足踏み式縄ない機があったそうです。

右と左のラッパ管(ラッパの形をした筒)にそれぞれ稲わらを入れ、足で踏むと一本によじられて縄になっていく機械。

 

ある日の事、おばあちゃんに頼まれた千枝さんは、右側はおばあちゃんが稲わらを入れ、左側は千枝さんが担当。せっせと稲わらを入れ続け、長い縄を作っていきました。

それには、おばあちゃんの甘い言葉。

「ワラを入れるのを手伝うてくれたら、可愛い雨傘を買うちゃおきね。」

その言葉に、千枝さんはしんどくても胸をワクワクさせながら入れ続けたそうです。

やっと仕上がり、おばあちゃんは、約束通り、可愛い雨傘を買ってくれました。

又、そこでおばあちゃんの一言。

「お兄ちゃんと弟には、だまっちょきよ。」

千枝さんは、あわてて少しの間、稲わらの中へ隠しておこうと思い、その傘を突っ込んだそうです。

後日、やっと出せる時が来て、わくわく心躍りながら、傘を出して開きました。

すると、あろうことか、その傘は、ネズミに食べられ、大きな穴が開いていたそうです。千枝さんは、悲しくて悲しくて、涙がポロポロ。

 

60年たった今でも、心に突き刺さっている想い出…だとか…。

「やっぱり、兄弟に内緒で独り占めはダメやねぇ~」

とは、先日の千枝さんの言葉。

でも、可愛いじゃありませんか!

 

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私の一冊

田岡三代

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 「すぐ死ぬんだから」 内館牧子 講談社

78歳の忍ハナは、60代に見間違えられるほど、身なりに気をつけている。夫は、そんなハナのことを誇りに思っている。

優しく完璧と思われたその夫が倒れた事から、ハナの人生が180度変わっていく。

最後に出てくる「泪割り」。ハイボールにワサビを入れた飲み物で乾杯…のシーンが何とも切なく頼もしい。

田岡三代

 

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私の一冊

田岡三代

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「老後の資金がありません」 垣谷美雨 中公文庫

老後資金は2000万円必要とか、政治家の発言。そんな足下にも及ばない自分の財布事情からは、楽しい題名。

どんな内容?

しっかり蓄えたはずの老後資金が、娘の結婚・舅の葬式・姑の生活費…などなどにどんどん減っていく。
家族の金難に振り回される主人公後藤篤子。
そんな時、思っても見ない奇策を演じる姑にハラハラ。

楽しい小説でした。

田岡三代

 

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私の一冊

田岡三代

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「樹木希林さんからの手紙」 『NHKクローズアップ現代』+『知るしん』制作班 主婦の友社

「人生上出来!と、こらえて歩こう」の副題。

大きな病(癌)と闘いながら、自分自身を見つめ続けた姿が、いろんな方への手紙の端々に感じられる樹木希林さんの手紙。

そのひとつに、

『前略 あさはさん
「言葉ってものは傷つけもするし
幸せにもする 単純な文法です」
ブラジルの11才の少年のことばです
原文はポルトガル語

私はネ60才すぎて癌になってガチンと響きましたヨ 遅いけど その罪ほろぼしでこうやって手紙書いてます』

と、直筆の手紙が紹介されています。

もっともっと生きていて欲しかった樹木希林さん…です。

田岡三代

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私の一冊

田岡三代

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「心」 稲盛和夫 サンマーク出版

先日、青木幹勇記念館の雑学講座で、講師の鏡峯寺住職・吉永先生が、人生は「思い込み」が作っていくというお話をされていましたが、この一代で大企業を創り上げた稲盛和夫さんも、同じことを書いています。

「人生で起こってくるあらゆる出来事は、自らの心が引き寄せたものです。それらはまるで映写機がスクリーンに映像を映し出すように、心が描いたものを忠実に再現しています。」
「すべては心に始まり、心に終わる。」
〜本文より〜

時々、こういった本を開いて、自分を見つめなおすのもいいかな…と思っています。

田岡三代

 

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私の一冊

田岡三代

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「騙し絵の牙」 塩田武士 KADOKAWA

 

俳優「大泉洋」が大好きです。その「大泉洋」が写真モデルとなり、本の表紙にありましたので、読んでみようと思い立ちました。

出版業界で働く主人公が、業界の中で翻弄され失脚。しかし、最後に驚きのどんでん返し。というもので、こんな作品が小気味いい。…が…。

まるで「大泉洋」が演じているかのような錯覚の中で読みました。

田岡三代

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私の一冊

田岡三代

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「ノーサイド・ゲーム」 池井戸潤 ダイヤモンド社

今回、日本中を沸かせた「ラグビー熱」の前哨戦として、一役かっていたのでは思わせるこの本。

テレビでもドラマ化され毎回楽しく観戦したのですが、一足早く本を買って読もうとしたら、孫に「テレビでやりゆうのに、本を買うが?」とあきれられました。

しかし、本の中でドキドキワクワクしていますので、テレビは安心して見られました。

多額の予算を使っているラグビーチームを抱えている大手自動車メーカーで、まったくラグビーを知らない主人公。

そのラグビーチームを再建しようと孤軍奮闘する主人公が、日々ラグビーの心に魅せられていく過程も見ものでした。

田岡三代

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私の一冊

田岡三代

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「むらさきのスカートの女」 今村夏子 朝日新聞出版

近所に住む「むらさきのスカートの女」が、気になって仕方のない(わたし)は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすよう誘導し、その生活を観察し続ける。

と、本の帯に書かれている芥川賞受賞作のこの本。読み進めても、読み進めても、不可解。

この「むらさきのスカートの女」は、結局、(わたし)自身だったのか?

いまだわかりません。

難解な本でした。

田岡三代

 

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私の一冊

田岡三代

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「そして、バトンは渡された」 瀬尾まいこ 文藝春秋

今まで、自分より年上の作家の方が書いた本を読む傾向にありましたが、好きな作家の方々も、ご高齢になり、中にはお亡くなりになった方もいて、これからは、最前線で書かれている方の本も読んでみようと手に取った本です。

主人公の十七歳の女の子には、父親が三人、母親が二人。

そのたびに名字が変わる。

数奇な運命と考えがちですが、いつも回りから愛され、淡々とその流れの中で生きていく。

境遇を受け入れる力と、人間の持つ温かさを信じた視点にほっとしました。

田岡三代

 

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