田岡三代

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

田岡三代

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「いつも私で生きていく」 草笛光子 小学館文庫

「え~っ?この顔で84歳?」先ず、表紙の写真に驚愕。そして、題名の「いつも私で生きていく」が心に響きました。

まえがきに「人生には、楽しいことだけでなく、悲しみも苦しみもあります。でも、辛いからといって、自分の人生を誰かにかわって生きてもらうわけにはいきません。だから、どんなときも”精一杯”の私で生きてきました。」。と、本の題名へこめた思いを書いています。

きっと、筋の通った生き方をしてきたんだろうなぁ~と、読んでみたくなりました。案の定、その瞬間、その瞬間を妥協なく生きてきた方の言葉は、輝いていました。

 

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私の一冊

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「ラジオ深夜便 誕生日の花ときょうの一句」 NHKサービスセンター

「誕生日の花と花言葉」と「きょうの一句」の一年分が一冊にまとめられている。

10年前に購入して以来、出会った人の誕生日を聞き、その日の花言葉を教えてあげると、何と、その方の考え方や、生き方の傾向が花言葉にぴったりだったりで、随分楽しめる本でした。

因みに、主人は、4月21日生まれ、誕生日花は、「サクラソウ」。花言葉は「少年時代の希望、青春」。そういえば、いつも前向きの希望と明るい未来を口にする人でした。

 

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「ホセ・ムヒカの言葉」 佐藤美由紀 双葉社

2012年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連の「持続可能な開発会議」で各国の首脳によるスピーチが行われた。その最後のスピーチが南米のウルグアイの第40代大統領ホセ・ムヒカだった。そのスピーチが「もっとも衝撃的なスピーチ」と呼ばれるようになった。

「質問をさせてください。ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てば、この惑星はどうなるのでしょうか。息をするための酸素がどれくらい残るのでしょうか。(中略)私の言っていることはとてもシンプルなものですよ。愛を育むこと、人間関係を築くこと、子供を育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。環境のために闘うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な要素であることを覚えておかなくてはなりません。」(ホセ・ムヒカのスピーチ)

コロナ禍の今、もっともっとという無限の慾に支配されずに、ほんの少しの我慢、必要最低限の物で生きていける社会を考えてみるのもいいのかもしれない。

 

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「気がつけば、終着駅」 佐藤愛子 中央公論新社

ポンポンと小気味よい言葉が溢れ出る文章が好きで、佐藤愛子の本を読み続けている。エッセイの中に出てくる、遠藤周作との掛け合いが又、面白い。

90歳では、「九十歳、何がめでたい」がベストセラーに。

この「気がつけば、終着駅」は、50年前から今まで、「婦人公論」に執筆したものを集めたものだそう。

現在96歳。初エッセイから、55年。勇気を頂く一冊です。

田岡三代

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私の一冊

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「ターシャの言葉 思うとおりに歩めばいいのよ」 ターシャ・テューダー KADOKAWA

アメリカの絵本画家・作家のターシャ・テューダー。

子どもが自立したのち、アメリカ、バーモント州の山奥に18世紀風の農家を建てて、植物と動物とのナチュラルライフを送り、自然体で生活を楽しんだターシャの生き方。

「いいなぁ~!」と、思ってもターシャのようにはできない。

けれど、私の心に影響を受けた一冊です。

田岡三代

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田岡三代

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「外来植物  高知嶺北A・高知嶺北B」 山中直秋

やっぱり、「花」って可愛い。そこら辺にある雑草なのに、懸命に咲き誇っています。その草花へのあたたかい視線が感じられる本。

外来植物採集家として日々活動している「山中直秋」さんが、ご自分の足でこつこつと嶺北の「外来植物」の写真を撮り続け、昨年本にまとめ上げ、好評を博しました。

次回は嶺北の「在来植物」の写真集を出す予定だそうで、乞うご期待!です。

 

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田岡三代

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「綴る女  評伝・宮尾登美子」 林真理子 中央公論新社

宮尾登美子さんは、高知市出身の作家であるにもかかわらず、私は、一冊も読んだことがありません。

しかし、先日、この本を本屋さんで見かけた時、宮尾登美子さんとはどんな人だろうと興味津々となったのです。

宮尾さんは、高知市生まれ、父親の職業は「芸妓娼妓紹介業」。それだけでも、人格形成に大きな影響を与えたに違いないと思うのですが、その後、結婚、離婚、借金、再婚。そして、高知市での生活を捨て、東京へと…波瀾万丈。

その間、作家として書き続け、やがて、「一弦の琴」「陽暉楼」「櫂」「鬼龍院花子の生涯」「天璋院篤姫」などなど数多くの作品が映画化され大ヒットするなど、「宮尾ワールド」を築き上げていった。…と書いてありました。

私も、やっぱり、宮尾さんの本を読んでみようかな。

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ほのぼのと

ふみさんの話

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ふみさんは15才の時、単身東京へ行き、美容師の資格を取得。

帰郷後、土佐町内で美容院を開業。以来40年、人気の美容院を経営している。

私とふみさんとは、小学校・中学校の同級生である。

先日も、ふみさんちで髪のカットをしてもらった。

いつも、とぎれることのない会話で楽しい時間を過ごすのだが、その日は、中学校時代の思い出話に花が咲いた。

 

ふみさん
「私ねぇ~、ソフト部やったやんか。顧問の先生は、松岡先生で、私にキャッチャーをやれというがよ。私は、ピッチャーがしたかったき、先生にピッチャーがしたいと言うたら、おまえはキャッチャーやと言われた。けんど、どうしてもピッチャーがやりたかったき、もう一回先生に、ピッチャーがやりたいと言うたけど、変更してもらえんかった。それで、しかたなしにキャッチャーをやったがよ。試合にも行ったでぇ~(笑)。けんど、ピッチャーの投げた球を胸で受けたら、そりゃぁ~恐かったでぇ~(笑)」


「ふぅ~ん。私は、バレー部やったき、ふみさんがソフト部やったとは知らんかった」

ふみさん
「運動会の時、ほら、創作ダンス創ったがねぇ~。その時、盆踊りをしよったき、盆踊りみたいなダンスを創ったがねぇ~(笑)。三代さんも一緒に創ったでぇ~」


「ふぅ~ん。私はダンス創った記憶はないでぇ~。ダンスの記憶としては、確か女の先生、ほらほら・・・あの・・・」

ふみさん
「井上先生やろ」


「そうそう、その井上先生の指導で練習の時、完璧にできたと思うたのに、先生が、それはそれは恐い顔をして、“何でできんがぞね!”と怒られた記憶しかないでぇ~」

ふみさんの記憶力はすごい。固有名詞も、情景も、時代背景も完璧。

 

そして、私の髪はきれいになり、フミさんは次のお客さんの頭へと、「ごめんごめん、待たせたねぇ~」。

いつもこの調子。

楽しい会話に心も頭もすっきり。次の一歩への活力源となっている。

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田岡三代

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「中島潔が描くパリそして日本」 朝日新聞社

儚くも美しい。この絵を見た瞬間、私の心をとらえるものがあった。それは何だろう?

言葉では言い表せない何か。その心のままを感じればいい?

中島潔の言葉に、「人の生きるさまは移ろう四季に似ている。ひとときも止まらない時の流れにすべてのものが生まれては消え、再びめぐることはない。四季もひとも千差万別で、時のひとときを彩り、笑い、想い、涙して流れてゆく。そのすべてが美しく、悲しくてきれいだ。」

15年前に買っていたこの本を久しぶりに開いてみた。

15年分の自分の変化が、絵への感受性の濃密さになった。…かな?

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私の一冊

田岡三代

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「寂聴 九十七歳の遺言」 瀬戸内寂聴 朝日新書

「私なんか何もない」などと思わないで下さい。
全ての人にその人にしかない才能が、必ず授かっています。
何もなくても、笑顔は作れます。

「和顔施」 和やかな顔を相手に与えなさい。
「忘己利他」 自分のためじゃなくて、自分以外の人の幸せのために生きなさい。
人間は苦しんだ分だけ、愛の深い人に育っていくのです。

などなど、生きる極意のような言葉がちりばめられています。

97歳になってもなお、文筆活動が楽しくてたまらないという寂聴さん。その穏やかな悟りに至るまでには、さまざまな苦しみや悲しみ・楽しみを昇華させてきたのでしょうね。

久しぶりに、「生きていくという事」への想いを見つめてみました。

田岡三代

 

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