山中淳子さん、おん年84。昭和16年生まれ。
田井で生まれ育った淳子さんは、田井のことを最もよく知る方のひとり。
当時の田井の子供たちは田井小学校、田井中学校に通います。子どもが多い時代で、1クラスに35~40人ほどの人数がいたそうです。
その後は嶺北高校。田井のお家から自転車で通っていた、というところは現在の高校生と変わりませんね。
卒業後は女子専門学校で被服(縫製)を1年間勉強し、田井に今もある山吉屋でしばらく洋服を作る仕事をしていたそうです。
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土佐町の現在の人口です。(2017年6月末時点・土佐町公式サイトによる)
注:土佐町の総人口が3,997人(2017年4月末時点)から4,001人(6月末時点)に増加したことに伴い、当プロジェクト名も「4,001プロジェクト」に変更になりました。
“4,001プロジェクト”は土佐町に住む人々を、全員もれなく、写真家の石川拓也が撮影する計画。
念のため書いておくと、「全員もれなく」…あくまで目標です。
土佐町の人口の増減によって、タイトルもたまに変わります。 (敬称略・撮れたときに不定期更新)
とさちょうものがたり ZINE14が完成しました。土佐町在住の方々には近日中に配布される予定です。
14号目は「土佐町の人々」(鳥山百合子)。
土佐町で暮らす5組の方々にお話を聞き、その暮らし方の一端を見せていただきました。
1, クロを積む
土佐町の田んぼのあちこちで見かける「クロ」。真夏に刈った草を積んでできている。
クロは昔から使われてきた肥料だが、時代の流れと共にクロを積む人は減っている。
長年、土佐町地蔵寺の田で、クロを積み続けてきた西村卓士さんと 田岡袈裟幸さん。
この場所の50年の変遷を知る、お二人の思いとは。
2, 南川のカジ蒸し
一年で最も寒い2月、土佐町の南川地区で行われているカジ蒸し。
木の甑(こしき)から立ち上る湯気のそばでカジの皮を剥ぐ風景は、土佐町の冬の風物詩。
北風が吹く中、カジを蒸し、カジの皮を剥ぐ。それが山の貴重な収入源だった。
担う人は高齢化、いつまで続けられるか分からない。南川のカジ蒸しの風景を、ここにちゃんと残しておきたい。
3, シシ肉をいただく
冬、猟犬と共に山に入り、見つけたイノシシの足跡を見極め、しとめたイノシシを自ら捌いて肉にする。山を駆け回っていたイノシシの肉は鮮やかな紅色で、瑞々しい。「命をいただく」とは?
土佐町栗木地区の猟師である近藤雅伸さんに、イノシシ猟について話を聞いた。
4, ハチミツを採る
ミツバチを飼い、ハチミツを採る。土佐町で昔から行われてきた営みだ。
土佐町上津川地区に住む高橋通世さん。お父さんもミツバチを飼っていたという。
ミツバチの声に耳を澄まし、必要なお世話をし、自然の営みを得る。
通世さんが教えてくれたミツバチの世界、自然との暮らしの意味とは。
5, お山のお母さん
標高500mの場所にある、土佐町溜井地区の和田農園。トマトを中心に野菜やお米を作っている。
訪ねれば食卓に並ぶ手作りの山の幸、旬のもの、山の恵みを活かし、作れるものは何でも作るお山のお母さん、和田計美さん。温暖化や急激な環境の変化が続く中、計美さんは今日も畑に立ち続ける。
とさちょうものがたりZINEは、いつも通り高知県や首都圏の施設や店舗などで配布されます。土佐町外には少し時間差で届きますので、ご希望の方はご確認の上、入手してください。
田井の高橋康子さん、昭和17年生まれ。田井の商店「岡部」さんのお家に生まれた康子さん。
当時の田井の子どもたちと同様、田井小学校から田井中学校へ進みます。
そのまま嶺北高校を卒業した康子さんは、当時中島にあった「文化服装学院」という洋裁の学校へ。2年かけて洋裁の勉強。その後は田井の「山中百貨店」で洋裁の仕事をしていたそうです。
当時は既製品が現在のように溢れている状況ではなく、服を買うと言えば「山中百貨店」のようなお店に行き、採寸から始めて作ることが普通だったようです。
皆様。いつもとさちょうものがたりをご覧になっていただいてありがとうございます。
とさちょうものがたりは2024年の業務も無事完了し、2024年12月28日(土)より冬休みに入ります。
本年も土佐町内外問わず、たくさんの方々に大変お世話になりました。
とさちょうものがたりをいつも訪問いただいている皆様、記事を書いてくれている住民の方々。
様々な関わりを持っていただいているたくさんの方々のおかげで、とさちょうものがたりは今年もこうして温かな感情と共にに締め括ることができます。
今年は特に、とさちょうものがたりZINEの12号が「日本地域コンテンツ大賞」という名誉ある賞の「内閣府地方創生推進事務局⾧賞/自治体部門」の最優秀賞をいただくことができました。
これまで住民の方々と積み重ねてきたものごとが、ひとつの実りを迎えた瞬間でもありました。改めてお礼申し上げます。
再開は2025年1月6日(月)になります。皆様、良いお年をお迎えください。
とさちょうものがたり編集部
連載「ふるさと教育」では、土佐町小学校で行われている郷土を知るための授業の様子を取り上げていきます。
2024年11月29日、土佐町小学校で「出前授業」がありました。
JA(*)高知県れいほく花き部会の農家さん、JA高知県土長営農経済センターれいほく営農販売課と高知県嶺北農業改良普及所の方たちが、小学校3年生の子どもたちにフラワーアレンジメントの作り方を教えてくれました。
現在、「JA高知県れいほく花き部会」は土佐町と本山町の花き農家 5軒で構成されています。
この日は土佐町から澤田みどりさんと上田裕介さん、本山町は畠山祐樹さんとかおりさんが来てくれました。
JA高知県れいほく花き部会の皆さんが実際に育てている花を持ち寄り、用意してくれました。
トルコギキョウ、マリーゴールド、ストック。そして、“世界でここにしかない、嶺北にしかない花”「ノーブル」から生まれた品種のノーブルアイカ。それから、ユーカリもありました。
黒板の前に並べられた花たちはみずみずしく、しなやか。教室は新鮮な香りで満ちていました。
まずは畠山さんのクイズからスタートです。
◯「トルコギキョウ」の「トルコ」の由来は?
うーーん???
顔を見合わせる子どもたち。
答えは、「トルコギキョウのつぼみがトルコ人のターバンによく似ているから」
お〜〜!確かに!なるほど!
◯昨年1年間で、嶺北の花農家さんが出荷した本数は?
100本?一万本?
答えは、33万本。
子どもたちから「えーー!!すごい!」と歓声が上がっていました。
次は実際にアレンジメントを。
土佐町の花き農家、澤田みどりさんが教えてくれました。
4種類の花を手にし、鼻を近づけてくんくん。長い茎はハサミで切りながら、思い思いに吸水スポンジにさしていきます。
「葉っぱ、食べられそう」
「お菓子みたいな甘い匂いがする」
友達と話しながら、自由に。切った茎ももったいないから、と吸水スポンジにさしている子も。
「お母さんにあげたい」
「お家に飾りたい」
とても楽しそうな顔、そして優しいまなざしで花かごを見つめる子どもたちでした。
「吸水スポンジが乾いてきたら、あさってくらいに、やかんか計量カップに水を入れて、花や茎にかからないようにお水をあげてね」
と、みどりさん。「お湯じゃないで、水やで!」と念押ししていました。
「庭で花を育てている家庭や、家に花を飾るお家が少なくなっていて、子どもたちが生の花に触れる機会がなかなかないのよね。こういった機会を通して、“花っていいな。お家に花があるっていいなあ”と感じてもらえたら」
みどりさんはそう話してくれました。
嶺北農業改良普及所の山田さんは「花を買う人が減っているので、買って飾ってほしい」とも。「花っていいな」という気持ちが、花を買おうという行動になり、それは花を育てる花農家さんを守ることにもつながります。
両手で抱えるように、そっと花カゴを抱える子どもたち。
持ち帰るため、友達同士で大切に袋に入れている姿が印象的でした。
この地で花を育てる人たちがいるからこそ、この土地の花が咲き、花を手にすることができます。
れいほくの花の手ざわりと香りを記憶の片隅に留め、大きくなっていってほしいなと願っています。
*JA …農業共同組合