とさちょうものがたり

くだらな土佐弁辞典

なま

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

なま

【名詞】刺身

 

例:カツオのなまがあるけ、来るかよ?

意味:カツオの刺身があるから、食べに来るか?

 

*土佐町の和田幹男さんが教えてくれた土佐弁です。

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

以下の文章は、2024年3月29日に発行したとさちょうものがたりZINE 13「土佐町のかたち」の巻末に、あとがきとして掲載したものです。

 

「喜ばせごっこ」 文:鳥山百合子

2023年12月、とさちょうものがたり編集部は「高知県地場産業大賞」の「地場産業奨励賞」を受賞した。高知県地場産業大賞は「高知県内で作り出された優れた地場産品や技術、地場産業振興に貢献のあった活動」に与えられる賞で、1986年から高知県産業振興センターが開催しているものだ。
編集部は「地場産業振興に貢献のあった活動」の分野で応募。県内の企業など56件の中から書類審査を通過し、日々の活動内容を紹介するプレゼンテーションを行った。その結果、地域社会と深く関わりながら、障がいのある方とのものづくりに取り組み、雇用の場や活躍できる場をつくっている点が評価され、奨励賞を受賞した。

表彰式の様子はテレビで放送され、高知新聞には受賞団体紹介記事が掲載された。たくさんの方に「テレビ見たよ!」「新聞に出てたね!」と声をかけていただき、とてもうれしかった。
受賞できたのは、今まで応援してくれた人たちのおかげです。本当にありがとうございます。

 

「よかったねえ」

新聞に掲載された日の朝のこと、一本の電話がかかってきた。97歳の近藤潔さんからだった。
「新聞を見て、記事の真ん中に “とさちょうものがたり” って出てるじゃあないか。びっくりしてねえ、賞を取ったんじゃねえ、よかったねえ、おめでとう。本当によかったねえ」
潔さんは「95年間のキヨ婆さんの思い出」と題し、土佐町で過ごした幼い頃の思い出を綴ってくれている。鉛筆で原稿用紙に書かれたお話は、ウェブサイト「とさちょうものがたり」で連載中だ。
潔さんの入院中、コロナ禍の合間にお見舞いに行くと「入院していてすることが何もないけど、書くことが生きがい」「ここまで生きてこられたのは、みんなのおかげ。なんとかね、まだまだ頑張りますよ〜」と話してくれた。
電話口で、潔さんは何度も「よかったねえ」と言ってくれた。本当にそう思ってくれていることがしみじみ伝わってくる声風だった。
私も編集長の石川も、まず実働が一番大事と思っている人間で、賞というものに対しやや無頓着なところがある。もちろん賞をいただいたことはありがたく、認めてもらったことはとてもうれしい。二人とも、周りの人が喜んでくれることで実感が湧いてくる体質の持ち主で、「おめでとう!」と声をかけられたり、お祝いの電話やメールをいただいて、初めて受賞の喜びを感じたところがある。それは「とさちょうものがたり」をスタートさせた時から変わっていない。取り組みを喜んでくれる人がいることが、私たちの原動力だった。

 

喜びの感じどころ

「とさちょうものがたり」がスタートしたのは2017年。町の良さや美しさ、営まれる暮らしの素晴らしさを伝えたいと写真や動画、イラストや文章などでさまざまな連載を作り、町の人にも記事を書いてもらって制作してきた。

年に2回、ウェブサイトの連載を雑誌「とさちょうものがたりZINE」にまとめ、町内には全戸配布、県内外の市町村や施設、美術館やカフェなどに送付し、設置してもらっている。読んだ人が実際に町を訪れ、移住したり、遠方の方からは手紙やメールをいただいたり。号を重ねるごとに町の人から「いつも楽しみにしてるよ」と声をかけられるようになった。

今まで多くの記事を制作し、さまざまな取り組みをしてきたが、記事を読んだご本人や周りの人が喜んでくれることが私たちの喜びだった。
撮影した写真を額に入れて飾ってくれている人。遺影にしたいから撮影してほしいと言ってくれる人。自分の写真が掲載されている号を誇らしげに友達に見せている子。執筆したお話を、数年経っても大切にしてくれている人…。自分たちの仕事が相手に届いた実感は、喜び以外の何物でもなかった。別の言い方をすれば、喜んでくれる人がいなければ続けることはできなかったと思う。

石原地区の98歳の窪内節さんのお家に伺った時のこと。節さんは毎日書いているという日記帳を見せてくれた。丁寧に綴られた節さんの日々。「新聞を毎日読んで、日記を書く。そしてごはんを食べる。それが私の仕事です」と話してくれた。

ふと、机に置かれた日記帳のそばに何冊もの「とさちょうものがたりZINE」が積み重ねられていることに気付いた。「あ…」と思わず声が出た私に、娘さんが「お母さんはこの本をいつも楽しみにしているんですよ」と教えてくれた。たまらず、目頭が熱くなった。今までやってきてよかったと思えた。時折現れるこういったご褒美みたいな出来事が、いつも私たちを支え続けてくれた。

 

人生は喜ばせごっこ

“人間が一番うれしいことはなんだろう? 長い間、ぼくは考えてきた。そして結局、人が一番うれしいのは、人をよろこばせることだということがわかりました。実に単純なことです。ひとはひとをよろこばせることが一番うれしい――”(「やなせたかし 明日をひらく言葉」より)
「人生は喜ばせごっこ」。高知県出身の漫画家 やなせたかしさんが遺した言葉だ。高知に来たばかりの頃知ったこの言葉は、ずっと心に残っていた。

「とさちょうものがたり」の取り組みは「町の人が喜ぶかどうか」、経済的な面も含め「携わる人が喜ぶかたちになっているか」という視点を大切にしてきた。そして、嘘やごまかしがないこと、必要だと思うこと、心からやりたいと思えることをかたちにしてきたつもりだ。町の人や風景の撮影も、障がいのある人とのものづくりも、町の人の生き方を書くことも、四季折々の暮らしを描いた絵本の制作も。思い返せば、ひとつひとつ作ってきたものごとの向こうに、いつも誰かの姿を見ていた。

私たちは、目の前の人を喜ばせたかったんだと思う。喜んでくれる人がいることがただただうれしくて、進んできた。
笑ってくれたらうれしい。楽しんでくれてうれしい。喜んでくれたからうれしい。「うれしい」は相手があってこその感情で、どちらか一方だけがうれしい状態は多分ありえない。うれしいのは、相手がいるからこそ。喜びを感じられるのは、あなたがいるからこそ。それはきっと世界共通の、人間が持っている特性なのだと思う。
「うれしいね」。「よかったね」。互いに伝え合い、喜び合える、「うれしい」が循環していくような世界のかたちを少しでも作っていけたらと思う。

「人間が一番うれしいことは?」。その問いの答えはどこか遠くにあるのでも、まだ見ぬ場所にあるのでもなく、あの人を、この人を、目の前の人を喜ばせること。それが巡り巡って自分の喜びになっていく。多分、人間はそういったことにうれしさを感じる生き物なのだと思う。

「人生は喜ばせごっこ」。今、その言葉はまさに真理だと実感している。

 

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
4001プロジェクト

近藤正子 (地蔵寺)

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

東石原生まれの近藤正子さん、現在94歳。20歳で地蔵寺のご主人に嫁ぎ、74年間(!)地蔵寺に暮らしています。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

ZINE13 土佐町のかたち 56p フルカラー A4

「とさちょうものがたりZINE13」、発刊です!

今号は「土佐町のかたち」と題し、とさちょうものがたり編集長の石川が撮影した写真をまとめた一冊です。

 

13号は、写真号

写真号は、2017年発刊の「とさちょうものがたりZINE 02」を皮切りに、2020年に発刊した07号、2022年の10号に引き続き、今回で4冊目。

土佐町の風景を撮影し、月ごとにポストカードにする「土佐町ポストカードプロジェクト」。そして、土佐町の住民の方を全員撮影しようと始まった「4001プロジェクト」。この2本立てになっています。

 

土佐町ポストカードプロジェクト

土佐町の四季折々の風景のなかに、町の子どもたちにも登場してもらって撮影することも。

ポストカードは土佐町役場受付や土佐町立図書館、土佐町郷土学習センターなどで配布しています。

町の方にお手紙を書いてもらい、大切な誰かに送る。そのことで町のPRができる仕組みです。町の事業者さんも商品を送る際にメッセージカードとして利用してくださっています。

 

 

4001プロジェクト

 

 

「土佐町の住民を全員撮影する」ことを掲げ始まったプロジェクト。このプロジェクトを始めた当時、2017年の町の人口が「4,001人」だったので「4001プロジェクト」というタイトルがついています。可能な限り、その方々の人柄や暮らし方などが表れるような写真を撮りたい。その思いで撮影を続けています。

 

町の姿そのままを

本日、2024年4月19日の地区長会で地区ごとにお配りし、土佐町の皆さんには全戸配布されます。号を重ねるごとに「いつも楽しみにしているよ」とお声がけいただくことが増えています。ありがたいことです。町の姿や町の暮らしそのままを、少し客観的な目で眺めてみる機会にもなればいいなと思っています。

県内外の図書館や美術館、カフェなどにも送付していますので、お近くに行った際にはぜひ手にとっていただけたらと思います。

 

↓配布先はこちら

ZINE

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
くだらな土佐弁辞典

こんまい

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

こんまい

【形容詞】小さい

 

例:こんまいことは気にしなさんな

意味:小さいことは気にしなくていいよ

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
くだらな土佐弁辞典

ぬくい

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

ぬくい

【形容詞】暖かい

 

例:今日はぬくいねぇ

意味:今日は暖かいねぇ

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
土佐町ポストカードプロジェクト

2024 Mar. 高峯神社

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

高峯神社 (安吉) | 村上一平

 

 

安吉にある高峯神社の、本殿の手前にある参道です。

高峯神社は以前は琴平神社と双璧をなす様な神社で、入り口前にも旅館や商店などが立ち並んでいた時代があったそうです。

いつ来ても清浄な気持ちの良い空気が流れ、ここが特別な場所だということを教えてくれます。

ひとしきり走り回って遊んだ後に、木の幹の一点を見つめているのは村上一平くん。

何が見えているのでしょうか。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
くだらな土佐弁辞典

ふとい

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

ふとい

【形容詞】大きな

 

例:こじゃんと太いかぶがなっちゅう!

意味:とても大きなかぶがなってる!

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
くだらな土佐弁辞典

かまえる

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

 

かまえる

【動詞】用意する, 準備する

 

例:料理をかまえたき、皆おいでや〜!

意味:料理の準備をしたから、みんなおいでよ〜!

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
メディアとお手紙

高知新聞 閑人調 16

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

とさちょうものがたり編集部の鳥山が、2023年春より、高知新聞の「閑人調」というコラムに寄稿させていただいています。

このコラムには数人の執筆者がおり、月曜日から土曜日まで毎日掲載。月初めにその月の執筆者の氏名が掲載され、コラム自体には執筆者のペンネームが文章の最後に記されます。

鳥山のペンネームは「風」。月に2回ほど掲載されます。

 

中学3年生

長男は中学3年生。先日、中学校生活最後の授業参観があった。教室では数学の授業の最中で、友達同士分からないところを教え合っていた。その姿を見ながら、みんな大きくなったなあと感慨深いものがあった。

土佐町中学校は小学校も同じ敷地内に立っており、どの児童生徒も、保育園の頃から地域の人や先生方に見守られながら大きくなっていく。幼い頃の面影を残した子があいさつしてくれたり照れくさそうに笑ったり、とてもかわいい。

「母さん、母さん」と足元にまとわりついていた息子は今や背丈は私を追い越し、頼もしい背中になった。生意気な物言いに本気でけんかをしたり、叱ったり、泣いたり、笑ったり。振り返ってみればどんな日もどんな時もかけがえのない瞬間だった。

3月5,6日は県内公立高校入学試験の日。多くの中学3年生が自分の希望や願いをかなえるために毎日頑張っていることだろう。

風邪をひかないように、どうかそれぞれがベストな状態で入試の日を迎えられますように。新たな扉を開き、自分の道を一歩ずつ歩いていけますように。大丈夫、どんな道も必ず未来へとつながっています。

中学3年生の応援団として、最大級の、心からのエールを送ります!

(風)

 

2024年2月26日、高知新聞に掲載されたコラム「閑人調」です。題名は「中学3年生」。

土佐町にある中学校は一校だけ。保育園、小学校も一つだけなので、子どもたちは先生方や地域の人たちに見守られながら皆大きくなっていきます。

先日、土佐町中学校3年生は卒業式を迎えました。義務教育を終え、これから新たな道を歩いていく子どもたち。どうか、これからも元気に、それぞれの道を歩いていけますように。

保護者の一人として、地域に暮らす一人として、心から子どもたちを応援しています。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone