土佐町に住み始めて六度目の春を迎えた。物珍しかった風景が見慣れた景色になり、挨拶を交わす顔見知りが増え、町内のそこここにお気に入りの場所もできた。山間の小さな町の暮らしは思った以上に肌に合い、街中の暮らしに戻りたいとは思わなくなった。いつか街に帰る自分よりも、ずっとこの山里に暮らす自分のほうがしっくりくる。そう思うようになった頃と相前後して、人里からすこし離れた場所に”本のあるちいさな集いの場”をつくれないかと考えるようになった。
肩書や浮世のしがらみからしばし離れ、素の自分でいられる場所。何をするのか、したいのかをいちいち説明する必要はなく、自分を最優先にできる場所。本や人と気軽に出会え、一人になることも可能な場所。語りたければ大いに語り、ひとり静かに過ごしたければそれも許される。
一応、本を置いてはいるが、本の好き嫌いや、読む読まないは関係ない。目的がなくても気おくれせずにふらりと訪える、隠れ家のようなコミュニティスペース。そこには座り心地の良い椅子がいくつかと本があるだけ。運が良ければ、おいしいコーヒーと気軽につまめるお菓子にありつけるかもしれない。
少々狭くはあってもそんな場を拓けたら、講師を招いてのおはなし会や、生の音楽を楽しめるコンサートも開きたい。
ぼんやりと空を見上げたり本を読みながら、いつ来るともしれない誰かを待つ暮らしは、きっと楽しいに違いない。場を拓くにはまだ少し時間を要するだろうけれど、有言実行あるのみだ。お披露目のご案内を差し上げる日を気長に待っていてほしい。
素敵な夢ですね
実現するよう念じます
本のある音楽の聴ける場所、訪れたいです。
中野さま
嬉しい感想をありがとうございます。
お山の上のちいさな隠れ家でお会いできる日が来ますように!!