ヨーロッパ原産、シソ科オドリコソウ属の越年草。
明治時代中期に渡来した帰化植物で春の野に咲くおなじみの存在です。
落ちた種が秋に発芽し、地面で平面的に広がるロゼット葉の姿で冬を越します。春になって成長を始め、徐々に茎を伸ばして花をつけ、結実しては種を落とす、その繰り返しを延々と続けます。
今の時期、ヒメオドリコソウは土佐町のどこにでも見られるような気がしますが、意外とそうでもなく、他の雑草との棲み分けがされているようです。
ひとたび生えれば、隙間なくびっしりと群生します。
その光景はまるで大人数が整列しているかの様な雰囲気で、古代中国の兵馬俑(へいばよう)に例えられたりもします。
ヒメオドリコソウの葉は、トランプのスペードを連想させるような円みのある卵形で、網目状の葉脈と白い毛が目立ちます。赤紫色の茎に密集してつき、花期になると全体が紅色を帯びてきます。
重なる葉と葉のすき間から、次々と横向きに、小さなピンク色の花が顔を出します。
ヒメオドリコソウはホトケノザ(仏の座)に似ていてよく間違われますが、花を上向きに出すのがホトケノザ、茎につく葉も仏様が座る連座に似た独特の形をしています。

ホトケノザ
ヒメオドリコソウは在来種のオドリコソウに似た姿をしています。
比べるととても小さいことから「姫」がつけられたもので、花冠の長さは1~1.5㎝しかありません。
あまりにも小さ過ぎてこの花から「踊り子」を実感するのは難しいかもしれません。

オドリコソウ(撮影:2022年4月)
一方オドリコソウは草丈30~50㎝の多年草で、花も大きく3~4㎝になります。
花を横から見ると、編み笠をかぶった踊り子が輪になっているように見えます。
土佐町では早明浦ダム沿いの道路の法面などで見かけますが、花期は4~5月で、花が咲くのはもう少し先です。