『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』 松岡正剛 講談社
この国の”深い魅力”は本当に理解されているのだろうか?
日本人の文化や心や精神性が、なぜ今のような形になっているのか。そういうことがずっと気になっています。
なぜ古代(や中世)から長く続く行事や習俗がこのような様式になっているのか? 紐解いていくとそこには起源や理由が、もちろんですがあるわけです。
そういったことを知ることは即ち「我々はどこから来たのか」という疑問に対しての答えを求めることであり、ひいては「我々はどこへいくのか」という問いに対しての答えを考えることでもあると思うのです。
博覧強記で知られる松岡正剛氏のこの著書は、タイトル通り「日本文化の核心」に深く潜っていきながら、驚異的にわかりやすい。
例えば日本文化を語る上で重要な「わび」。これはもともとは文字通り「詫び」、謝ることから来ていると喝破しています。
客を迎える主人が、「このような粗末なもてなししかできなくてごめんなさいね」と詫びる。
その主人の客を慮る気持ちこそが美しい、そう考えた中世の日本人の精神性が結晶化した言葉であり概念なのだということです。こんなにわかりやすい「わび」の説明は初めて読みました。
そんな例が最初から最後まで続々と出てくる一冊です。