先日、ススキ刈りに出掛けた。
ススキが屋根を葺く資材になったり、積んで醗酵させると良い肥料になると言うことは以前から知っていたけれど、わざわざ集めて利用するところまで考えることはなかった。しかし以前左官屋のケンちゃんと稲藁で葺いた小さな屋根が予想よりも早く傷んでしまったため、今度はより耐久性のあるススキを使おうとなった。夏の間ぐんぐん背を伸ばし、冬に立ち枯れするこの植物を刈り取るのにちょうど良い季節だ。
その昔、ススキをまとめて生やしておく「茅場(かやば)」という場所が、どの地域にもあったらしいが、近年見かけることは少なくなった。今ではススキなどイネ科の茅は、田畑の法面や道の横などにあちらこちらに生えているが、刈払機で刈られ、利用されることはほとんどない。放っておくと背が高くなって処理しにくく、どちらかと言うと邪魔者なイメージだ。
刈って持って帰っても文句言う人はいないだろうが、人様の土地に勝手に入るわけにもいかないので、あらかじめ地主の方に確認して了解を得た場所に行った。
柄の長い鎌を手に田んぼの斜面を一歩ずつ足元を確かめながら、ススキが密集している場所を目指す。根元から刈ると、ざくざくという音が気持ちいい。鎌の届く範囲を刈りながら腕の中でまとめ、また次の場所に移動する。
ちょうど遊びに来ていた友人の手も借りて、一日ススキを刈っては束にしていった。
集めたススキを縛り直して、長さを揃えるために株元を地面へ叩く度、穂についた綿毛がふわりと舞う。午後三時、空には雲ひとつなく暖かい春のような陽気だったが、僕たちとススキの長く伸びた影が、冬を感じさせていた。
式地健男
ススキを刈りとって屋根の葺き替えは大変な作業ですね なぜか解らないが自分には羨ましい気持ちが少し出てきました なぜか 頑張って下さい 僕の気持ちの中で応援してます。
渡貫洋介
式地さま
コメントをありがとうございます。
今回ススキを利用する屋根は小さく、60束を集めました。
一般的な家の屋根を葺くとなると、数千束も必要と聞きましたから、当時はたくさんの労力と時間が必要だったのだなと想像しながら作業しました。
木材や土壁、茅など、身の回りにある環境から材料を作り出し、家建てる技術や知恵は本当に素晴らしいです。環境も時代も変化していきますが、次の世代にも繋げたい暮らし方です。