九月になった。
夏休みが終わっても、子どもたちはまだ遊び足りなそうだし、学校組が久しぶりの登校準備でバタバタしているのを見ていると、彼らはもっと夏休みが続いてほしいと思っているだろうな、と思う。でも、僕は8月が終わって心底ホッとしてる。
今年は僕にとって、長い夏だった。
夏休み前から上のふたりは小笠原に旅に出掛けた。帰ってくるとすぐに「笹の夏休み」がはじまり、今年もたくさんの小学生たちが遊びに来てくれた。そのあと息つく間もなく、土佐町と交流のある青森県十和田市の小学生の受け入れがあったり、地域のイベントであるレイホクゴロワーズ(注1)やとさっ子タウン(注2)へ参加したり、と毎日のようにあちこち出掛けていった。これらのイベントに親が参加することはなかったが、それでも送迎やらその間の下の子たちの相手やらがあるし、その間も田畑や鶏の世話、草刈り、そしてもちろん家事もいつもどおりある。
日々の暑さにも辟易としていた。
ある日少し無理をして炎天下で草刈りしたら熱中症の手前になってしまったらしく、珍しく熱が出た。二日ほど寝てなんとか復活したが、仕事は二日分遅れた。加えて台風などの影響で雨が多く、予定通りに進まない。そんな気の焦りもあって、心がいつも落ち着かない状態が続いた。もうくたくただった。
それでも、できることをコツコツやっていると、そのうち朝晩は涼しくなり、日中の殺人的とも思えた太陽の日差しが穏やかになり、草の伸びもいっときの勢いはなくなった。自然はうまくできてるなと思う。
なんだか愚痴のようになってしまったけれど、もちろん喜びもたくさんあった。
ひとりバスに乗って福岡県の友人に会いに行った長男、笹を訪れたお兄ちゃんお姉ちゃんたちと交流したことでグンと成長した感のある次女と三女、まだまだ幼いと思っていた次男は習っているソフトバレーボールのリーダーに抜擢された。長女は小屋で飼いはじめた鶏の世話をよくしてくれる。それぞれできることが増えて、みな頼もしい限りだ。一緒に過ごす時間が長い夏休みだからこそ、彼らの心身の変化も身近に感じられた。
新学期がはじまって一週間が経ち、子どもたちから「夏休み気分」が少しずつ抜けてきたようで、ペースを取り戻しつつある。親も夏の余韻をまだ暮らしのあちこちに感じながら、次にやって来る季節への準備をする。でもまあたいていは間に合わないので、僕らなりにできることを無理せずコツコツやっていこう。
写真:夏休み終盤には親しい家族たちと徳島県海陽町へキャンプに行った。広い砂浜と空に、山育ちの子どもたちは大興奮だった。
注1:レイホクゴロワーズ 嶺北の自然の中で行う二泊三日のアドベンチャーレース。ラフティングやマウンテンバイクなど、様々なアクテビティーを子どもたちが協力しながらクリアしていく。
注2:とさっ子タウン 高知市内施設内に二日間の架空の町が出現し、コミュニティ運営を体験する。