土佐町内では、農協やスーパーの横に精米所が設置されています。
土佐町では農家さんでなくとも、他の仕事をしながらお米を育てている人は多く「じぶんく(自分のところ)で食べるお米は自分で作る」、すなわちお米の自給率は相当高いと思われます。
お米を作っている人と話していると、「先祖代々の田を自分の代で手放すわけにはいかない」という思いと、「じぶんくで作ったお米はうまい」という誇りを持っていることを感じます。
収穫したお米は玄米のまま、紙の米袋に入れて各家の保冷庫で保存。その都度精米所で精米して食べている人が多いようです。
30㎏のお米
かくいう私は、土佐町の農家さんからお米を購入させてもらっています。このお米がツヤツヤで甘く、「ああ、お米って美味しいなあ〜」としみじみします。毎食このお米が食べられるなんて相当な贅沢です。大体2ヶ月に一回くらい、30㎏を届けてもらっています。
そして精米所に行き、精米します。30㎏は相当気合を入れないと持ち上がらない重さです。ぎっくり腰にならないように注意を払いつつ、よろよろしながら、ヨイショ!と自ら掛け声をかけ、機械に玄米を投入。30㎏精米する場合は、300円お金を入れます。
白米にするか、7分米か3分米かなど、お米の精米度合いを選んでボタンを押すと、ゴーッという大きな音がして精米がスタート。
もう既に、お米の甘い香りが広がっていきます。
1俵、ここにあり
土佐町に来て驚いたことの一つに「お米の単位」があります。スーパーや宅配で販売されているお米の多くは5㎏、または10㎏の袋でそれが当たり前だと思っていました。
土佐町のスーパーでも、5㎏、10㎏の袋は売っていますが、地元の人の間でやりとりされるお米は30㎏の米袋。この30㎏の米袋を1袋(いったい)と呼び、これが多くの人にとっての一単位になっています。さらに、この30kgの米袋が2袋(にたい)になると「1俵(いっぴょう)」となります。
「いっぴょう」!!
昔話で聞いたことがあった「いっぴょう」、おじいさんとおばあさんが藁で編んだ俵をつい想像してしまいますが、土佐町では「1俵」という単位もまだまだ現役。さすが米どころと言われるだけあります。
精米終了
精米が終わると、目の前には山のようなほかほかのお米が。手を入れるとぬくぬくと暖かくて、まるでこたつのよう。甘い香りで満ちています。
取り出し口の下に袋を設置して、ペダルを踏むと、ザーッと精米したお米が落ちてきます。
精米してもまだ重い30㎏のお米。私は空袋を持っていって、半分ずつ袋に入れます。そうすると15㎏ずつになるので、腰の心配をすることなく余裕で持つことができます。
やはり精米したてのお米は格別です。子供たちも「あれ?お米変えた?」と聞いてきます。
この味が日常。そのありがたさ、贅沢さ。忘れないでいたいと思います。