2018年9月8日と9日の両日で開催された「土佐町の写真展・物産展 とさちょうものがたり」が無事終了しました。
高知市帯屋町、&ギャラリーでの開催は、2日間ともあいにくの雨天となりましたが、「ここは土佐町かな?」と思うほど町の人たちが家族や友人を連れて足を運んでくださったことが本当にありがたかったです。
足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
ちょっとためらいがちに入り口をのぞき、たまらなく懐かしそうな、心の奥の大切な引き出しがそっと開いたようなそんな表情をする人たちがいました。
その方たちは大抵自分からはあまり話しかけてこないのだけれど、その表情を見て声をかけたくなるのはこちらの方でした。
「どちらからいらしたんですか?」と聞くと「あ…、土佐町の出身なんです」。
結婚して今は高知市や南国市に住んでいる人、お孫さんが土佐町にいて何度も来たことがある人…、土佐町に縁のある人たちも多く来てくれました。
そして、懐かしそうに昔の話をしてくれるのでした。
笹ヶ峰に遠足に行ったこと、
家の前の橋が昔は石だったこと、
山の畑に行って刈った草を背中に背負って重かったこと、
神祭の時は学校が半日で終わってお菓子をもらいに行ったこと…。
いくつになってもふるさとの存在は特別であり、誰でもその人のものがたりを持っているのだなあと思います。
「『とさちょう』という文字を見て懐かしくなって…。娘に連れてきてもらったのよ。」
南国市から来てくれた坂本民子さんはそう話してくれました。南国市の「道の駅風良里」に行った時に写真展・物産展のチラシを見つけたのだそうです。
坂本さんは「私は相川地区出身なのよ。」とのこと。「相川のどちらですか?」と聞くと「日浦」と言うではありませんか!「日浦」は、いつもお世話になっている上田覚さんと房子さんが住んでいるところ。覚さんと房子さんのことを知っているのでは、と聞いてみると「覚は兄です」。
こんなことがあるのかと心底驚きました。
坂本さんも覚さんと房子さんから私の話をよく聞いていたらしく「まさかこんなところで会うなんて!」。坂本さんも私も涙ぐみながら、笑いながら喜んだことでした。
雨の中、片方の手で傘をさし、もう片方の手で杖をつきながら歩いて来てくれた方がいました。土佐町にお孫さんがいるとのこと。
キネマ土佐町を3回ほど繰り返し見て「本当に素晴らしいわね…。これを全国の人にも届けられたらいいのにねえ。」としみじみと話してくれました。
帰る時「足元にお気をつけて。」と言うと「大丈夫、スローで行きますき!」と素敵な笑顔でゆっくりと帰っていきました。
ソファに深く座り映像を見つめていたその方の横顔や、雨の中帰っていく後ろ姿は、この場所でやる意味があったと思わせてくれるものでした。