本名、川原将太。通称「ショータ君」は、アーティスト。
もともと主に絵を描いていたが、土佐町に住みはじめてから縁がつながり、使われなくなった陶器工房を譲り受けたのがきっかけで、独学で器つくりもはじめた。焼き上げる度に彼の技術は向上し、作風も変化している。
そんなショータ君は、子どもと遊ぶのが大好きだ。
それも、全力で。
「危ない」とか「やっちゃダメ」とかすぐ言う大人たちとは違う。
だから、子どもたちも彼のことが大好きだ。
ショータ君は、「子どもマグネット」だ。
彼の姿を見つけると、子どもたちがどんどん吸い付いていく。
今日はどんなことをして遊ぶのか、新しい遊び道具はどうやって使うのか、みな笑顔になって、歓声をあげて彼と遊ぶ。
笹のいえにもよく遊びに来てくれる。
うちの子たちは彼の軽トラを覚えていて、見つけると一目散に走り寄っていく。次男なんて、親の名前より先に「しょーた」と言えたくらいだ。
ある日彼が「あの場所ちょっと使わせてください」と、山の斜面にある、草と竹だらけの元畑を指差した。「どうぞどうぞ」と言ったら、数日後には草が刈られ、丸太を運び込んでやぐらが立ち、木の枝を利用したブランコができ、アプローチに階段が、あれよあれよと作られていった。
「秘密基地」と名前がついたこの場所は、ショータ君と子どもたちの間で「秘密の」遊び場となっている。
好奇心が服着て歩いてるような彼は、アーティストとしての本業を続けつつ、子どもと遊び、その場をショータランド化している。そして、彼の磁力はいまや大人まで及び、一緒に遊ぶ輪も広がってる。
そして、ショータ君の魅力以上にすごいな、と思うのは、こんな彼を支える地域の気質だ。
一般的にひとの数が少ない地域ほど、彼のような「周りと違うひと」は中に入って来にくい。けれど、住人4000人足らずのこの町で彼が生きていけるのは、地元の懐の深さが大きいと僕は思ってる。
今日も山々に、ショータ君と子どもたちの笑い声が響く。
写真提供:中澤ミツル