去年に引き続き、今年の田植えも手植えすることにした。
苗は種まきから35日くらい経ったときが植えごろと言われる。田植えに向けて、代かきや水の管理などを調整し、田を整えて、その日を迎える。
田植えは5月下旬からスタートした。とてもひとりでは間に合わないので、友人数名に声を掛けて手伝ってもらう。
まず植える苗を用意しなくてはいけないのだが、その作業がとても大変だった。
水を張った苗床に手を突っ込み、一本一本引き抜いて、カゴに入れていく。引き抜くときの力加減が難しく、がいに(強く)引っ張ると必要以上に根や葉を切ってしまう。稲に紛れて、雑草も生えているから、それらを取り除くために集中力もいる。座っている椅子は半分田んぼに沈み、お尻は濡れる。長時間同じ姿勢なので、腰が痛い。そのうち全身泥だらけ。「オレは、なんでこんなことしてるんだろう」と疑問が何度も頭を過ぎりつつ、ひたすら苗を取っていく。
ある程度苗をまとめたら、今度は田植えだ。
去年は苗を一本ずつ植えていったが、苗の成長や気候の影響もあって、あまり良い収量ではなかった。地域の方たちのアドバイスから、今年は「三本植え」を基本とした。単純計算で苗の量が三倍になったから、採れる米の量も三倍!と言いたいところだけれど、そうはならないのが米つくりの難しいところ。
線を引いた田面に苗を一か所一か所、手で植えていく。苗を選び、腰を曲げ、苗を刺し、一歩進んでは、また苗を選び、、、
永遠とも思える単純作業だが、友人と四方山噺をしながらだと気も紛れる。苗を取っては植え、植えては苗を取る日々が一週間ほど続き、二反半の田植えをなんとか終えることができた。
苗が整然と並び、水を張った田んぼは美しい。手で植えているので、苗の列が曲がっているところもあるが、苦労をした分、それすら愛おしい。
余情を味わいながら、田んぼを見ていると、すでにちらほら草が見えはじめている。ほっとする間もなく、除草作業に取り掛かることになりそうだ。
写真:田植え前にお供え物をして、田んぼの神様に豊作をお願いする。