知り合いの農家さんからハネのトマトをたくさんいただいた。
「8月の長雨でトマトがいかんのよ」
トマトはハウスの中で育てていて雨は当たらないのだが、それでも割れてしまうのだという。
「ほんと、涙が出るばあよ。こんなことは初めて。このまま置いても傷んでしまうから、もらってもらえたら」
そう言いながら分けてくれたトマトは、大きな箱3つ分もあった。
この大量のトマトで、トマトジュースとトマトソースを作ることにした。
傷んでいる部分を取り除き、大まかに切ってミキサーへ。これはトマトジュースになる。
一口大に切ったトマトは大鍋へ。これはトマトソース用。
写真左はトマトジュース。一煮立ちしたら、塩と砂糖を入れて味付けする。表面のオレンジ色のブクブクはアクで、アクの下はきれいな赤色の果汁。もったいないのでアクは取らずに、そのまま一緒にジュースにする。これがびっくりするほど「うまい!」。トマトそのものが体の内側に染み渡っていって、一口飲むごとに元気になれる。
右はトマトソースにするべく、コトコト煮詰めているところ。煮詰めるにつれ、汁が出てきて鍋から溢れ出そうになる。
半日かかってできた数々。ペットボトルに入っているのがトマトジュース。ペットボトルのまま冷凍できる。瓶はトマトソース。煮沸消毒した瓶に詰め、蓋をぎゅっとしめる。常温で保存できる。
トマトが割れることなく育っていたのなら、いつものようにお店に持っていって販売できたはず。「近年は天候や気候の変動が激しい」農家さんはそう言っていた。そのなかで「なんとかやりゆうのよ」、と呟いていた。コロナ禍もあり、農業研修生の受け入れもできず、人手が足りない状況が続いている。農業を担う方たちは徐々に高齢化、多くの方たちがギリギリのところで踏ん張っているではないかと思う。あと5年、10年したら、どのような状況になっているのだろうか。
トマトを切りながら、トマトを分けてくれた農家さんの顔が何度も思い浮かんだ。