「宇宙兄弟 心のノート」 小山宙哉 講談社
私の愛する漫画、「宇宙兄弟」。現在39巻まで発売されていて、私は全巻持っている。その39冊に加え、この「心のノート」、さらに「心のノート2」もあり、合計41冊が私の本棚の一番いいところに並んでいる。
「宇宙兄弟」は南波六太と日々人という兄弟が、紆余曲折を経て、宇宙飛行士という幼い頃からの夢を叶える。宇宙という憧れの舞台に立つまで、そして、その舞台に立ってからも生じる多くの試練や葛藤。日々の喜びや仲間たちへの信頼…。六太と日々人だけではなく、あらゆる登場人物の心のひだが丁寧に描かれ、39巻全てにグッとくるようなシーンと言葉が散りばめられている。「うん、わかるわかる…」と涙ぐんでしまったことは数知れない。
さて、この「心のノート」。「宇宙兄弟」第1巻から37巻までに描かれている名場面・名言、“心のノートにメモしておきたくなる”言葉たちが収められている。
何が素晴らしいかというと、37巻分の名シーンが一冊にまとめられているので、本編全巻読み返さずとも感動の名場面にすぐに再会できるということだ。「あのセリフをもう一度読みたい!」という時、すぐに探せてとても便利であるし、探していたセリフの前後のページもつい読んでしまい、忘れていた名場面をもう一度味わえるという醍醐味がある。
この「心のノート」には、1巻から16巻までの名言100個が収められている(「心のノート2」は17巻から37巻までの名言100個)。100個全てを紹介したいくらいだが、それも大変なので、1つだけ紹介したい。
天文学者であり、六太と日々人の良き理解者であるシャロンが、どちらを選択したらよいかを迷う六太にかけた言葉だ。
『迷った時はね「どっちが正しいか」なんて考えちゃダメよ 日が暮れちゃうわ 「どっちが楽しいか」で決めなさい』。
人は迷った時、悩んだ時、余計な力が入って、つい難しく考え過ぎてしまう。本当は単純な物事を複雑にしてしまう。そんな時、ちょっと深呼吸して、シャロンのこの言葉を思い出す。
もちろん「どっちが楽しいか」だけで決められないこともある。でも、この言葉は幾度となく私の肩の力を抜き、自分の本当の気持ちに気づかせてくれた。
「心のノート」を開いてその名言だけを読むつもりだったはずが、その前後の話の詳しい確認をしたくなり、やはり本編を読み返してしまうことになる。「宇宙兄弟」は、やはり素晴らしい。