「運動脳」 アンデシュ・ハンセン サンマーク出版
情けないことに、私は運動しようとしても続いた試しがない。毎日ランニングをしている友人が「走ることは歯磨きと一緒。走らないと気持ち悪い」と話すのを聞いて心底かっこいいと感じ、そんなふうに言ってみたいと思い続けて今に至る。
そんな私でも、たま〜に気が向いた時に走ったり、ほんの少しだけヨガをやるだけでも、モヤがかかっていた頭の中がクリアになり、前向きに何でもできそうな気持ちになることは知っている。
運動するとなぜ心地よい気分になるのか?その秘密をこの本は教えてくれた。
それは「私たちの祖先が、狩猟や住む場所を探すときに走っていたから」だという。
人間の脳は原始時代からほぼ変化していないのだそうだ。激変したのは生活習慣で、人間は物に囲まれて快適に暮らし、食料もボタン一つで自宅まで運んできてくれるようになり、身体を動かさなくなった。そうなると、狩猟仕様にできている脳にとっては具合が悪い。脳が求める運動をしないと調子が悪くなる。気持ちが沈み、意欲減退、記憶力低下…。大なり小なり日々のストレスに気持ちが滅入る。まさに今の私。すごくよく分かる。
でも運動することで、使われていなかった神経が繋がり、血が巡る。感情を制御している神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン、3つの脳内物質たちを増やすことができるそうだ。
・セロトニン…悩みや不安を和らげる
・ノルアドレナリン…やる気や集中力を促す
・ドーパミン…意欲や活力を促す
この3つが増えることで「あなたの気分が変わる」という。
狩猟民族のご先祖さまの姿と非常にわかりやすい科学的な説明が、私の背中を押してくれた。
この前の日曜日に1時間ほど歩いた。単純かもしれないがとても気持ちがよくて、清々しい気持ちになった。こんな気持ちは久しぶりだった。
週に3回くらいでも効果があるらしい。ランニングやウォーキング、サイクリングもいいそうだ。まずはウォーキングからやってみよう。脳内に3つの物質を増やし、この鬱々とした気持ちを追い払ってしまいたい。