「バカのものさし」 養老孟司 扶桑社文庫
たまたまつけたテレビに養老先生と老猫との暮らしが映った。 養老先生はおだやかな語り口で鋭いことをズバッとわかりやすく伝えるその姿に一気にファンになってしまった。 それからというもの、著書を土佐町図書館で借りたり、ネットで言葉を拾い集めたり、古本屋を漁ってみたりと。 夫に話すときにも二言目には「養老先生が〜、養老先生が〜(こう言ってた)」とまるで信者である。
この著書は全国の小学生〜高校生が養老先生に疑問に思ったことや悩みを相談し、それにこたえていくようなかたちで綴られている。子どもたちにもちゃんと読めるように漢字にはふりがなが振られ、先生も難しい脳の仕組みや社会の問題について噛み砕いて説明してくださっているのでとてもわかりやすい。
養老先生の持論の中で〈田舎暮らしをしたらいい〉というのがある。(せめて子供が義務教育の間は特に) 田舎暮らしのなかで、思うようにならない自然を相手にする農作業をすることによって【努力・辛抱・根性】がつく。 からだをつかって、薪を割り、火が燃え上がるまでの手順を知ることの大切さ。 なんでもボタンひとつで風呂もお米も炊けて機械がやってくれる世界の脆さを熱く語っていらっしゃる。 うんうん!とすごくうなずける内容で、ふと自分の生活を振り返ってみれば。 田舎に越してきたものの、掃除機で掃除して、ガスで料理して、電気で風呂を沸かしてる…。「はて?これは本当に田舎暮らし?」 反省とちいさな違和感が育ち始めている。。。