「おとしより パリジェンヌが旅した懐かしい日本」 イザベル・ボワノ パイ インターナショナル
お年寄りには安心感を覚えます。 喫茶店を営む母の店には、毎日多くのお年寄りが来られていました。幼いときからずっとお年寄りは近しい存在だったせいもあるかもしれません。
そのお年寄りをあらわすまさにドンピシャなフレーズをこの本でみつけました。
−時流からはみ出さない「ごく普通」の人間を装ったり、それとは逆に、何が何でも「特別」な人間のふりをしたり、人は誰しも、何かしらの演技をしている。でも、お年寄りたちはそんな長年の重圧から解き放たれて、隠すことなどひとつもない生まれたての赤ちゃんのように、ありのまま、のびのびと生きているように見える。
そうなのです!この自然体、ありのままの姿、『自分』をしっかり持っている姿にきっと安心感を覚えるのかもしれません。繕っている人の前では、自分も決してのびのびいられやしませんもの。飾らないお年寄りの前で過ごす自分がきっと無防備になれて、楽で、好きなのです。
そして、さらに素敵なフレーズを見つけました。
−彼らはまるで、水分の大半が蒸発してしまった果物のよう。より軽く、よりシワシワで、より小さく、でも味わいはより凝縮されている。それぞれの人生が詰まった、エッセンシャルオイルの小瓶たち。
さすが、フランス人の感性だなぁ〜 的確かつお洒落に日本のお年寄りを表現しています。 日本のなかからみるよりも、海外のひとがみつめる日本の姿、お年寄りの姿は冷静かつ正しい気がしました。
ハッとさせられることも多かった一冊です。既視感満載のお年寄りがいっぱい。