稲刈りの次は、柚子収穫のお手伝い。
数日間、二か所の柚子畑に出掛けて行った。
一か所は所有者さんの自宅裏にあり、集落を見下ろすことができる穏やかな場所。
もう一か所は山の上の斜面にある圃場で、ここから見える周りの景色も良い。ちょうど紅葉がはじまるタイミングで、色づきはじめた山の木々が目を楽しませてくれた。
それぞれ別々の方が所有されていて、柚子の木の管理や収穫方法などが異なっていて勉強になった。
実は摘果ハサミを使って収穫するが、枝に棘があるので注意が必要。刺さるととても痛いし、体質によっては何日も腫れが引かないこともあるという。棘のある枝を踏んでしまうと靴の底を貫き怪我をすることがあるので、一か所にまとめておくことが大切ということも学んだ。
対策として、帽子やヘルメットを被り、手袋は牛革製。服の生地も目の詰まった素材がベター。エプロンや眼鏡をするのも有効だ。
木の高いところに生る柚子にはハシゴを上ったり、高枝バサミを使うと便利。けどずっと上を向いているので、首が痛くなってくる。実はコンテナに集め所定の場所に移動させるが、これが結構重い。なかなか重労働なのだ。
作業は朝から夕方前まで行われるが、嬉しいことに10時と15時の休憩がある。皆が集まってお茶とお菓子やミカンなどをいただく。休憩が多いと思われるかもしれないが、定期的にリフレッシュする時間を挟むことで集中力が保たれ、疲れる前に休むことで体力が持続する。
柚子には二回収穫時期がある。
一回目は実がまだ青いころ。そのまま出荷される。果汁は少ないが、薬味として使われることが多い。柚子胡椒はその代表。うちでも自家製を作ったことがあるが、風味が高くて重宝した。
二回目は色が黄色くなったころ。これは絞って柚子酢(地域では「ゆのす」と呼ばれる)にする。玉の大きいものは農協に出して、小ぶりのは自分たちで絞って自家製ゆのすにする。
高知に住むまで酢と言えば米酢と思っていたが、さすが柚子の産地、こちらでは柚子酢を使うことが多い。
酸っぱいけれど、美味しい。酢飯を作るときに混ぜると香りもとても良い。地元のうどん屋さんでは自家製の柚子酢が薬味として出てくる。うどんに酢?と思ったけど、出汁との相性が抜群だった。
柚子は他の柑橘と比べて育てやすいと言われているが、木の成長が遅く、「桃栗三年柿八年、柚子の大馬鹿十八年」と言われる。なんだか親しみ湧く果物だ。
写真:お手伝いに行った柚子畑。作業の動線を考えて植えられているのが分かる。実が収穫されてすっきり。