「サンタクロースの部屋」 松岡享子 こぐま社
クリスマスの準備を始める頃、毎年決まって開きたくなる本、「サンタクロースの部屋」。
子どもは大きくなると、いつの頃からかサンタさんが誰なのかを知ります。
この本の中のこの言葉に出会ったとき、“その時”が来るまでは、サンタさんを信じる気持ちを守ってあげたいなあと思ったのでした。
『心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の心の中に残る。この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、ここに迎えいれることができる。』
『この空間、この収容能力、つまり目に見えないものを信じるという心の働きが、人間の精神生活のあらゆる面で、どんなに重要かはいうまでもない。のちに、いちばん崇高なものを宿すかもしれぬ心の場所が、実は幼い日にサンタクロースを住まわせることによってつくられるのだ。別に、サンタクロースには限らない。魔法使いでも、妖精でも、鬼でも仙人でも、ものいう動物でも、空飛ぶくつでも、打出の小槌でも、岩戸をあげるおまじないでもよい。幼い心に、これらのふしぎの住める空間をたっぷりとってやりたい。』
目に見えない何かや人を信じる信じるちからは、その人の土台をずっと支え続けてくれるものだと思います。
この記事を書いた人
とさちょうものがたり編集者。2011年神奈川県から土佐町へ移り住む。土佐町の姿、この地で暮らす人たちのことを伝えられたらと思っています。
写真
とさちょうものがたり編集長。写真家。90年代アジア・アフリカ・ヨーロッパなどを旅し、その後アメリカ・ニューヨークに住む。2002年に帰国、以来東京を拠点に雑誌や広告などの撮影を手がける。2016年8月より土佐町在住。ウェブサイト:http://ishikawatakuya.com/