19歳の頃、愛知県にいた私は先輩に連れられて占いに行った。
信じやすい私は行きたくなかったが、いろんな所に連れて行ってもらったりしてお世話になっている先輩の誘いを、断ることもできずシブシブついて行った。
12月の寒い日、軒の連なった暗い路地を入ったつきあたりで、テレビで見た事のあるような雰囲気の家だった。占い師さんはおぼろにしか覚えてないけれど、昔ながらの着物を着た普通のおばあさんだったように思う。
心の隅に隠していることや、自分でもいやだと思っていることを告げられるのじゃないかとハラハラドキドキで手相をみてもらった。
悪いことがみえても黙っててくれたのか、しっかり憶えていることは三つ。
・実家の40キロ以内に嫁ぐだろう。
・名前にさんずいがついていて、2歳上が一番相性がいい。川はさんずいに入る。
・向上心はあるが熱しやすくさめやすい
もう少し詳しく話してくれたけれどそこは内緒。
県内で就職先を探していた友達のなかで、あ~高知に帰るんやなーと思い、熱しやすく冷めやすいのは大当たりなので、心にきざんでちょっとでも努力しようと決めた。
お礼が3000円やったと思う。50年近く前の一週間分の小遣いでいたかった。
どんなに誘われても2度と行くまいとも決めた。
先輩は九州都城の島の出身で、愛知にきて5年。一度も帰ってないと言っていた。
お見合いの話しもあって帰ろうかどうしようか悩んでいた。あの頃、23歳は結婚適齢期だった。帰り道「何て言われた?」と聞いてみたけれど、何も教えてくれなかった。
次の春、にっこり笑って故郷に帰っていった。
あれから全くのご無沙汰だけど元気やろうか…。
今、介護保険を払う年齢になってみるとあれもこれも当たっていた気がする。
穏やかな生活、ちょっとの向上心。これからもがんばろう。