梅雨と書くくらいだから、この季節は昔から「梅しごと」と決まっていたのかもしれない。SNSのタイムラインには「梅干し仕込んでます」「今年はシロップ漬けにしました」など、友人からの梅にまつわる話題が多かった。
ありがたいことに、今シーズンは友人から梅もぎに誘っていただき、たくさんの梅を収穫することができた。普段から「いただく」ことの多い我が家。移住当初はお返しするものが少なく、ありがたいながらも、申し訳けないような後ろめたいような気持ちが強かった。
しかし、地域の方とのお付き合いが深くなるにつれ、多くの場面で「相手はお返しを期待していない」ことに気が付いた。たくさん収穫したから、使わないから、もったいないから、単純にそんな理由から声を掛けてくれる。廃材や廃油など、そのまま捨ててしまってもいいが、利用できる人がいるなら活用してもらおうとわざわざ連絡をくれる。場所を取っていたものや処理に困っていたものがなくなれば、相手は嬉しいし、もらった僕らはそれを有効に活用することができる。
もちろん、うちもお返しできるタイミングがあればする。でも、それはあの時のお返しです、とか、これくらいくれたから、このくらいお返しします、ということではない。普段の交流の中で自然に行われる特別でない風習。この地域にこんな付き合い方が続いているのは、暮らしが豊かで気持ちに余裕があるからだろうと考えている。
話が逸れたが、今回の梅で、
梅干し
梅ジャム
カリカリ梅
を作った。家中が梅の良い匂いに包まれ、なんとも幸せな気分になった。
梅ジャムやカリカリ梅の仕込みを手伝った子どもたちは、普段目にすることのない大量の砂糖に興奮し、扱いに緊張していたので笑ってしまった。計量する砂糖を少しでもこぼしたら、他の兄弟から「もったいない!」とツッコミが入る。そんなやりとりを見ながら、食事のとき落としたご飯粒は気にしないくせにと心で呟く父ちゃんだった。
地域の暖かい場所にあるネムノキの花が咲きはじめてる。もう夏も近い。