みんな大好き、落花生。
千葉から持って来た種を毎年自家採種して、もう六年くらいになる。土佐の土質や気候と相性が良いのか、毎年よく生ってくれて、美味しいピーナツを堪能している。
田畑の作付けは、家族が暮らしていくのに必要な作物、特に子どもたちが好きな種類を多く育てることになる。米、大豆、小麦、里芋、空豆、トマトにキュウリ、えんどう豆など。落花生もそうやって年々収量を増やしてきた。
落花生に限らず、どの野菜も、育ててみると、手間暇が掛かることが分かる。
先シーズンは五畝くらい植えつけた。が、これがなかなかの作業量だった。
落花生は定植後、草取りを適宜行っていれば、実を掘り上げるまでそれほど手間は掛からない。収穫してから口に入るまでの時間が長いのだ。
まず、株を掘り起こしたら畑でしばらく乾燥させるが、ネズミやカラスなどの食害を気を配らないといけない。次に、竹竿で天日干しをしてさらに乾燥させた後、さやを株から外して収穫。この時の乾燥が不十分だと保管中にカビることがある。そして、さやから実を取り出し、炒ってやっと食べられる。
国産の落花生はそこそこ高価だけれど、自分で育ててみると、その理由がよく分かる。もちろん市販のものはすべて手作業ではないだろうけれど。
冬の寒い日や雨の日に殻剥きするのが、僕の好きな時間だ。
薪ストーブの横でぬくぬくしながら、好きな音楽を聴きながら、コーヒーを飲みつつ、ひとり静かに作業する、、、のが、最高だけれど、たいていは子どもの相手をしながらだったり、他の作業をしながらだったりで、少しずつ進めることになる。
取り出した落花生は、三種類くらいに選別する。実が大きいのは食べるよう、小さいのは集めておいて水で戻してから茹でてあんこにしたら美味しい。もっと小さいのやカビてるのは鶏用。殻はコンポストへ。
自家製は育てた苦労があるから無駄にできないし、全てを利用でき、土に還せるから嬉しい。
ある程度の量になったら、ストーブのオーブンに入れて炒る。何度も味見をしながら、ちょうど良い加減で冷ましてからいただく。
種まきから食べるまでの労力を考えたら、多少高くたって、買っちゃった方が楽だ。それでも、一粒口に放り込んで「美味しい!」と言ってくれる家族の一言には、お金では買えない何かがそこにある。