家族が増えて、二ヶ月経った。
たねが加わったことで、我が家族が整ったように感じてる。これまで、出っ張ったり引っ込んだりしていた部分に、彼女が入り込み、ある種の形が出来上がったみたいだ。と言っても、具体的な図形が頭に浮かぶわけではなくって、感覚的なものなので言葉にするのが難しいのだけれど。
赤ちゃん中心となった生活の中で、子どもたちそれぞれの立場や役割が変化した。
基本的に母ちゃんはたねに付きっきりだから、当然僕を含めた他の家族に「母ちゃんがしていたこと」をする機会が多くなる。
長女は、10歳にして(望むと望まざるとにかかわらず)「ミニ母ちゃん」としての立場を確固としたものにしている。一番の年上ということで、周りからの頼みごとはお姉ちゃんに集中する。弟妹たちの世話を焼きつつ、家事もこなしている。下の子を叱るその様は母ちゃんそっくり。家族が増えるたびに、自分の時間が少なくなってしまうのは第一子の宿命だろうか。読書大好きな彼女が本に集中しようとすると、誰かから頼まれごとを言われて、ストレスを感じているときが多々ある。お手伝いは「しょうがなくやってる」という姿勢を隠さない彼女だが、慣れるにつれてできることも増えてきた。
マイペースな長男は、赤ちゃんが生まれても変わることなく我が道を歩いている。お調子者の彼は、同じくお調子者の弟と一緒に、しょうもない替え歌を歌ったり、くねくね踊ったりして和ませてくれる。だが、度が過ぎて叱られることも多い「ザ・男子」。学校に習い事にと忙しい彼。お姉ちゃんほどお手伝いに時間は取れないが、人を笑わせたりするのが得意なので、弟妹の面倒をよく見てくれて助かってる。
今まで「まだ小さいから」と大目に見られていた次男だが、下が増えるとそうもいかなくなる。上の子からは指示が飛び、ときには妹の相手もしないといけない、中間管理職的立場となった。それでも、「お兄ちゃん」としての自覚が強くなって、自分のことは自分でやるようになってきた。不条理な理由で怒られたり、泣きたいことがあっても、ぐっと我慢する表情に父ちゃんはひとり心で萌えてる。本当はまだまだ甘えたい年中さん、寝るときはお腹をとんとんしてもらうのが好き。
家族の中で、人生を最も謳歌している次女は二歳。可愛い盛りな彼女は、何をしても許されてしまう。相手は自分に合わせてくれるし、気に入らなければ相手が怒られる。たねが誕生したとき、このちっちゃい生き物に母親を取られるとライバル視していたが、最近面倒みたがるようになったのは自我の目覚めだろうか。自分の下ができたことで、弱い存在に優しく接する感覚を身につけたようにも見える。
そして、末っ子たねは、母ちゃんとの蜜月な日々。おっぱい飲んでねんねして、と童謡の歌詞そのままの毎日を送ってる。成長のスピードは驚異的で、首は座ってきたし、目を合わせて笑ったり、あーとかうーとかおしゃべりしてる。入れ替わり立ち替わり目の前に現れては、相手をしてくれる姉兄たちのことをどう感じているのだろう。
まさに五人五様で、同じ親からどうしてこうもバラエティに富んだ性格が育つのだろうと不思議でならない。毎日のように喧嘩はするしそれはそれは騒がしいけれど、家族全体で観察してみると、なんとなくまとまっているから面白いなと思う。