「おふろやさん」 西村繁男 福音館書店
お風呂で泳いでおじいちゃんに怒られている子供。帰り際、しゅんとしている子供に笑顔で声をかけるおじいちゃん。石鹸の貸し借りをしている人も。そんな交流がありつつも、お風呂に入っているのは個人個人。ああ、お風呂屋さんってこういう感じだよなあと思い出させてくれる一冊です。
関西に住んでいた時、近くにいくつかお風呂屋さんがありました。小銭をポケットに入れ、気分で場所を変え、歩きや自転車で行きました。暖簾を潜り、番台で当時370円位だった入浴料金を払う。ムンとした空気、天井は高く、お風呂場からは洗面器のカランカランと響く音が聞こえてきました。
大きな湯船は、「ぷは〜」とため息が漏れるほど気持ちがいい。おばあちゃん、おばちゃん、お姉さん、小さな子…。みんなが裸でお風呂に入っている。みんな1日の仕事や遊びや何かしらを終えて、ここに来ている。そんな背中の数々を感じながらお湯に浸かっていると、自分ってちっぽけやなあ〜と思いました。顔をお湯にぶくぶく沈ませていくと、ちょっとしたもやもやも一緒に沈んでいくようでした。
思う存分温まり、ぼんやりした身体に流し込む、瓶のコーヒー牛乳も外せません。
商店街に並ぶ銭湯も、山の奥に静かに佇む温泉も、ジャクジーやサウナがあるスーパー銭湯も、最高。
お風呂は最高の気分転換です。