「スイカ、取りに来や〜」
いつもお世話になっている近所の森岡彰さんが電話をかけてきてくれた。
大好きなスイカ!夕方、子どもと一緒に取りに行った。
彰さんはいつものように懐深い笑顔で迎えてくれ、こっちへおいでと言いながら倉庫へ案内してくれた。
彰さんはお米を作っている。土佐町の米農家さんの多くが、自宅倉庫に米用保冷庫を持ち、一年分のお米を保管している。30㎏の米袋が何十も入るほどの大きさで、スイカはその中に入っていた。
がっしりとした体格の彰さんが少しよろめきながら、目の前に持ってきてくれた。
わあ!
でかい!
あまりにもでかい!
彰さんのスイカは、家庭用冷蔵庫には入らなかったのだった。重さは11.5㎏ほどあったという。(後日、同じくらいの大きさのスイカの重さを計って教えてくれた)
これを持つには気合いがいる。体勢は中腰、掛け声も必要だ。
「よいしょ!」
みぞおちにスイカの丸みをしっかりとはめ込んだ。
「また取れたら、あげるきね。また来や」
帰り道、よたよたと歩きながら、彰さんの声が身体にじんわりと響いた。
さて。
いただいたスイカを我が家の家庭用冷蔵庫に収めなければならない。
このままでは入らないから、ザクリと切った。スイカはぽたぽたと汁をたらしながら、今が食べごろですよ!と訴えてくる。
ガブリ!
う〜ん、これぞ、夏!
その場で8分の1ほど平げ、友人たちにもお裾分けした。
自分で育てたスイカを手渡してくれる人がいる。
そのありがたさを反芻しながら、冷蔵庫の扉をゆっくりと閉めた。
岡山 隆寛
初めまして
いいコメントですね
また、土佐町が色々紹介されていて楽しく拝見しました。
ところで
森岡さんは森岡彰ですか?
とさちょうものがたり
岡山さま
うれしいコメントをありがとうございます。
はい、スイカをくださったのは、森岡彰さんです。