「インド洋 日本の気候を支配する謎の大海」 蒲生俊敬 講談社
日本から遠い海、という印象でしかない「インド洋」。
「謎」というキーワードにすこぶる惹かれ、加えて最近の異常気象も気になり、副題に惹かれて読んでみることに。
日本はインド洋から遠く離れてはいるが、ユーラシア大陸と隣り合っているという地理的条件によってインド洋の影響を受けている。
インド洋の熱帯海域における表面水温が、西側で異常に高くなり、逆に東側では低くなる現象(ダイポールモード現象)が日本列島の夏の異常高温の原因となっている。
冬の大陸高気圧が強力なときには北西季節風は強まり、日本列島は厳しい冬となる。そのようなときは、同時にインド半島やインド洋北部でも、強い北東季節風が吹きやすくなると考えられる。この風はとても乾燥しているが、日本海を渡ってくる時に大量の水分を含むために日本海側に豪雪をもたらす。
ソマリア海賊はインド洋の海流や季節風(ヒッパロスの風)を巧みに利用することによって燃料を節約、作業の安全(!)を考慮していたらしい。
海底温泉やシーラカンスの話も登場し、トピックス的な面白さもある。