
土佐町の相川地区を歩くと、田一面に三角の小さなテントが並んでいるような風景と出会う。この三角は、「わらぐろ」「わらすぼ」「すぼつき」「いなぐろ」など、さまざまな呼び名をもつ。
秋、田に入ったコンバインが稲を刈るのと同時に脱穀したわらを自動的に束ね、くるりとひっくり返して田に立たせる。この状態で次の年の1月頃まで置かれることで、わらはしっかりと乾燥する。
1月、良い天気が続いたある日、数人の人がわらぐろの立つ田のなかを歩いていた。わらぐろを田に倒し、束ねていた紐を切って、わらを一列に広げている。その列の上をロールベーラーという機械が走り、わらを巻き上げていく。しばらく走ると、ロールベーラーの中から、直径1メートル、高さ1メートルほどのわらをぎゅっと固めた団子のような円柱が転がり出る。わらの団子は、のちにトラックで保存場所へ運ばれる。
この作業を行なっているのは、町内で牛を飼う農家さん。いくつもの名をもつ三角は、全て牛の餌になる。この地の米のわらが、この地の牛を育てる。わらを食べた牛の糞は堆肥となって田へ戻る。
繰り返される循環が人間の暮らしを成り立たせている。そのことを忘れてはいけないと思う。



