とさちょうものがたり

メディアとお手紙

朝日新聞に掲載されました!

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 朝日新聞(高知版)に掲載されました!

2020年12月12日、朝日新聞(高知版)に、とさちょうものがたり編集部と嶺北の3町村が製作した「2020年カレンダーTOKUBETUHEN」についての内容が掲載されました。朝日新聞の記者、浜田奈美さんが書いてくださいました。

掲載日当日、「新聞を読みました!」とご注文の電話をいただきました。ありがとうございます。

文字を描いてくれた「ファースト」「どんぐり」「しゃくなげ荘」の職員さんにも、その都度、販売状況をお伝えしていますが、みなさんとても喜んでいます。

皆さま、来年のカレンダーは、ぜひ「2020年カレンダーTOKUBETUHEN」を!

よろしくお願いします!

 

数字踊る 心弾む のびのびカレンダー

土佐町、本山町、大豊町の障害者支援施設に通う21人の障害者たちが、個性的な数字を書いた2021年のカレンダーを作った。勢い余って空白がつぶれた「9」や、縦に整列して「22日」を知らせる「二二」が並び、のびのびと奔放な数字を毎日楽しめる。

カレンダーは、土佐町のウェブマガジン「とさちょうものがたり」編集部が発売した。これまで、町民の肖像写真や町の伝承を紹介するなどユニークな方法で土佐町の魅力を発信し、毎年秋には町の障害者支援施設「れいほくの里どんぐり」と共に地元のマラソン大会用のTシャツを作ってきた。だが今年は新型コロナの影響で大会は中止に。社会福祉協議会の職員らと協議し、施設利用者の新しい仕事としてカレンダーを手作りすることにした。

「参加者が多い方が楽しい」と、近くの町の障害者支援施設にも声をかけた。利用者たちは10センチ四方の紙を使い、絵の具を指で書き付けたり、折り鶴を数字の形に並べたりして、思い思いに数字を表現した。それらを組み合わせ、1月は「どんぐり」、2月は大豊町の「ファースト」、3月は本山町の「しゃくなげ荘」と、ひと月ごとに担当した施設が変わる。

「特別編」を示す表紙の「TOKUBETUHEN」の文字は、利用者が自発的に書いたという。ローマ字表記としては「S」が足りないが、編集長の石川拓也さん(46)は「正しさや美しさにこだわることなく『めいっぱい楽しんで』とお願いした。のびのびと表現して頂けた」と話す。

A3変形判で税込1500円。限定千部。編集部のサイト(https://tosacho.com/)で販売中で、各施設などでも買える。売り上げは各施設への寄付や今後の制作費にあてる。

(浜田奈美)

・朝日新聞社に無断で転載することを禁じます
・朝日新聞2020/12/12掲載(20-4749)

 

*とさちょうものがたりの記事にも詳しく掲載しています。

カレンダーBANGAIHEN

2021年カレンダーTOKUBETUHEN販売開始!!

 

 

 

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A4 56P フルカラー

 

 

とさちょうものがたりZINE、07号が発刊です。

本日12月18日(金)に発刊されました。土佐町の方々にはまもなくお手元に届く予定です。

07号は「土佐町のかたち」と題して、編集長である石川拓也が撮影した土佐町の風景と人々の写真の一冊となっております。

2018年7月に発行されたZINE02号は2016年9月から2018年6月の間に撮影した写真の一冊。それから約2年半を経て発行の今号は、その続編の一冊です。

2018年7月から2020年11月までの、とさちょうものがたりウェブサイト上でも発表している「土佐町ポストカードプロジェクト」と「4001プロジェクト」の2章から構成されています。

 

土佐町ポストカードプロジェクト

ZINE07 p4-5

 

土佐町の風景を、毎月一枚のポストカードにしてお届けしているこの企画も、もう5年目に突入しました。

作ったポストカードは49種。初期に作ったものは欠品状態ですが、主に土佐町役場玄関にて配布しています。

土佐町の方々や、もちろん町外の方々も、遠く離れた大切な誰かにこのポストカードを送っていただくことで、土佐町のことも思い出してもらおうというものです。

今回のZINE07号では、2018年7月から2020年10月までに撮影した写真をまとめています。

 

4,001プロジェクト

ZINE07 p26-27

 

人口約4,000人の町、土佐町。「町の方々全員を写真に撮ろう!」と始まったこの企画も、同じく5年目に突入しています。

思った以上にスローペースで、ゆっくりゆっくり進行していますが、それでもやっぱり一冊に入りきらないほどの枚数に、いつの間にかなっていました。

町で暮らす人々の姿を写すとともに、町のみなさまがこれまでに作ってきた暮らしや、地域や風景、日々大切にしている想いまで写しとろうと(意図としては)思って撮影しています。

年末年始のひとときに、ゆっくり読んでいただけたらうれしく思います。

 

お届けに関して

土佐町住民の方々には近日中に配布予定です。いつもZINEを置いていただいてる書店やお店、道の駅などにも現在絶賛配送中ですので、間もなくお届けできると思います。

とさちょうものがたりZINEを置いていただいている店舗や施設などは、以下のリンクからご確認ください。

 

ZINE

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メディアとお手紙

今、できることを

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とさちょうものがたり編集部の鳥山が、高知新聞の「所感雑感」に文章を寄稿させていただきました。

編集部と嶺北の3つの障がい者施設が一緒に製作したカレンダーについての内容です。高知新聞の影響は大きく、高知県香南市や東洋町の方からご注文のご連絡をいただきました。ありがとうございます。

確かに誰かに届いたのだという実感は、次の一歩を踏み出す力になります。小さくとも、正直に、まっすぐに、今できることを重ねていきたいと思います。

 

今、できることを

「もしもし、カレンダーを一つ購入したいのですが」

優しげな女性の声だった。電話口のゆったりとした声色から、80代くらいの方かなと思えた。11月5日付の高知新聞に、私が編集者として仕事をしている「とさちょうものがたり」編集部と、嶺北地域の障害者支援施設がカレンダーを製作したという記事が掲載された。電話の主は四万十町の方で、その記事を見て電話をしてきてくれたのだった。

「とさちょうものがたり」は、土佐町の魅力を伝えるウェブサイトとして2017年にスタート。いつからかウェブを飛び越え、雑誌や職人さんとのベンチ製作など土佐町ならではのものづくりも展開している。その中の一つとして、シルクスクリーンという手法で、ロゴや絵を手で一枚ずつ印刷したTシャツやポロシャツの販売をしている。

印刷作業を担っているのは、嶺北地域の障害者支援施設「どんぐり」(土佐町)と「ファースト」(大豊町)の利用者の方たち。売り上げは印刷をした方に還元し、収入増につなげている。同じ地域で暮らす人と共に働くこと、作ったポロシャツなどを地域の人が購入し、着てくれること。そういった風景も作り手の大きなやりがいになっている。

今回製作したカレンダーも、シルクスクリーンがご縁でつながった彼らと作り上げた。特徴は数字。「どんぐり」「 ファースト」、そして毎年、シルクスクリーンのTシャツを注文してくれる障害者支援施設「しゃくなげ荘」(本山町)の3施設の方たちが描いたユニークな数字を並べた。

「ファースト」では、みんなで机を囲んでワイワイ。マジックやクレヨン、指で描く人がいれば、細かくちぎった折り紙を貼り付ける人も。にぎやかな雰囲気の中で描かれた数字は緑、青、だいだいなど色とりどりで、まるで楽しげに跳ねているようだった。

本当はそのままの色を生かしたかったが、曜日が分かりにくくなる。泣く泣く諦め、赤と黒の数字にした。完成したカレンダーには、1ヵ月ごとに描いた人の名前を入れた。そのことを「当人も家族もとても喜んでいる」と施設の職員さんが話してくれた 。

もう一つの特徴は、寄付金付きということだ。

新型コロナウィルスの影響は中山間地域である嶺北にも及び、彼らが作るパンの注文など仕事が減っていると聞いた。今この場所で「とさちょうものがたり」として何ができるのか。頭を悩ませて出した答えの一つがカレンダーという形だった。1部1500円、そのうち200円が3施設に分配される。加えて、カレンダーを1部販売したら、1割(130円)がその施設に入る仕組みだ。残りは印刷費や来年度の製作費になる。

冒頭の電話の女性にカレンダーを送ってから数日後、編集部にはがきが届いた。

「令和3年もいい年になりそうです。皆様が一生懸命書いてくださったお姿を想像して感謝しております。大切に使わせていただきます」

90歳だと書かれていた。 お礼の電話をすると 「私にも支援できることがあれば、と思って」と話してくれた。そのやりとりは、私の心にぽっと明かりをともしてくれた。

今立っている場所で、今できることをする。たとえ小さくともその行動は誰かを支え、自身をも支えている。

カレンダーを手にした人たちが、胸にじんわりとしみていくような楽しさを感じられますように。

そして、2021年がすべての人にとって良い年となりますように。(土佐町土居)

「とさちょうものがたり」編集者 鳥山百合子

 

「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」、絶賛販売中です!

皆さま、来年のカレンダーの準備はできたでしょうか?

毎日、目にとめるカレンダー。ちょっと楽しい気持ちで使ってもらえたらうれしいです。

 

2021年カレンダーTOKUBETUHEN販売開始!!

2021年カレンダーTOKUBETUHEN販売開始!!

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土佐町ストーリーズ

白姥ヶ岳の怪猫(伊勢川)

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むかしむかし、伊勢川に小平と言う人がおったそうな。

ある日、家から二里半(一里は約四キロメートル)はなれた白姥ヶ岳と言う山に、ぬた待(えものが来るのを待ちぶせする猟法)をしにいったと。朝から次の日の朝まで一夜を明かそうと、握飯、茶瓶などを持って、いつも行き慣れちゅう場所に打ち場を構え、猟をしよったそうな。やがて夕方になったんで晩飯の準備を始めたと。

その時、年の頃十五、六歳のかわいらしい少女が現れ「叔父さん、変わった所においでますねえ。」言うたそうな。ふと見ると、宮古野に住む姪のお六じゃった。小平は、これは曲者がお六に化けているにちがいないと思うた。

けんど、しぐさや声があまりにお六に似いちょるんで「おまんは、こんな夜中に一人で、ましてこのような人里はなれた山の中にどうしてきたぞ。」と問うた。するとお六は、いつもと変わらん笑顔で、「ここは白姥ヶ岳と言うて最も恐ろしい山の中、なんぼ生活のためじゃ言うても、罪もない動物を殺すんです。これからは殺生をやめて他の仕事をしてください。」と言うたと。

そしたら小平が「わしは、生まれてこの方の猟師ゆえに仕方がないが、ところでおまえは少女の身で、ましてこんな夜中に来るとは大胆なやつじゃ。今さら帰るわけにもいかんので、ここで仮寝をして朝早く帰れ。」と言うて、そこに横になったそうな。しかし小平は、油断せずに寝たふりをしちょった。

すると、丑の刻(午前二時)を過ぎる頃から、少女の姿がちょっとずつ変わり始めたと。目は大きく異様な光を放ち、口は広がり耳元まで裂け、身の丈も延びて七尺(一尺は約三十センチメートル)になったそうな。

小平は驚き「化物正体をあらわせ。」と言うて、刀を抜き、化物の脇の下を突き抜いた。すると化物は正体を現し、七尺余りの大猫になって、ものすごい悲鳴をあげて山奥に逃げていったそうな。

昔から白姥ヶ岳には化物が棲む言いよったが、その一つじゃったもんじゃねえ。

 

寺石正路編「土佐風俗と伝説」より(町史)

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読んでほしい

小豆

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稲刈りが終わった田んぼに、お米を干していたハゼがまだ残っている。そこには大抵、小豆が干してある。

細長いさやがたくさんついている小豆は根っこから引き抜かれ、いくつかの束となって、ハゼ干しされている。この時期はからりとした天気が続くので、よく乾く。

12月の天気の良い日、近所のおばあちゃんが田んぼに大きなゴザを広げ、一人座っていることがあった。小豆の束を左手に握り締め、右手に持った木槌で、ゴザに小豆を叩きつけていた。ザン、ザン、ザン、と地の内側から聞こえてくるような音が耳に残った。そうすることで小豆がさやから飛び出すのだ。ゴザ一面に、赤茶色をした小豆の粒が散らばっていた。

全部叩き終えると、ゴザを半分にたたんで真ん中に小豆を集め、ざあっとざるに移す。そして、ざるを振りながら小さな葉クズを落とし、小豆だけを残す。

小さな粒々は、一人前の顔をして艶々としていた。

おばあちゃんは、この小豆であんこを作った。そして、自家製のもち米でおはぎやお餅を作ってよく届けてくれた。これがまた得も言われぬ美味しさで、おばあちゃんのおはぎが届いた日には、子どもたちは嬉々として頬張っていた。

小豆は全部使わずに、来年の種として一部取っておく。毎年毎年、何十年も、おばあちゃんは、そうやって種を取り継いでいるのだ。

 

先日、「ぜんざいでもしたら美味しいよ」と小豆をいただいた。小豆はあんなに小さいのに、集まると案外重い。

ぜんざいもいいし、お赤飯もいい。少し取っておいて、来年、裏の小さな畑で育ててみようか。

目の前の小豆の向こうに、果てしない数の先祖たちの存在を感じる。そんなことを思いながら、この小豆をどうやって使おうか考えている。

 

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くだらな土佐弁辞典

ごりすくうた

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ごりすくうた

【動】お寝しょした

 

 

 

 

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もったいぶった書きはじめ方をしてしまいましたが、とさちょうものがたり編集部が作っている「とさちょうものがたりZINE」が、とある賞を受賞しました。

その賞は、

日本地域情報コンテンツ大賞2020

です。

「とさちょうものがたりZINE」が、その一部門である「2020地方創生部門 内閣府地方創生推進事務局長賞・優秀賞」をいただくことができました!

 

◎地方創生部門(最優秀賞=内閣府地方創生推進事務局長賞)
まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進につながる誌面づくりに取り組んでいる媒体から、企画の切り口や写真、コピーライティング、デザインの表現力に優れている媒体に与えられる賞です。 日本地域情報コンテンツアワードウェブサイトより

 

 

表彰状もいただきました。

 

このような栄えある賞をいただくことができ、大変うれしく思う次第ですが、これは編集部のみがもらった賞でないことは確かです。

これまで様々な事業を一緒にやってきてくれた町の方々、土佐町だけでなく、とさちょうものがたりと関わっていただいた全てのみなさんと共にいただいた賞だと思っています。

今後もよりいっそう質の高い取り組みに邁進する所存ですので、これからも応援をよろしくお願いいたします!

 

 

 

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とさちょうものづくり

カレンダーBANGAIHEN

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とさちょうものがたり編集部と嶺北の3つの障がい者支援施設が合同で制作販売している「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」。みなさまもう実物はご覧になっていただけたでしょうか?

 

2021年カレンダーTOKUBETUHEN販売開始!!

 

今回は、そのカレンダー制作の裏側を少しご紹介したいと思います。題して「2021年カレンダーBANGAIHEN」(番外編)。

このカレンダーで使われている数字や文字は、障がい者施設のメンバーさんたちが描いたものですが、原稿として描いてくれたものを全て活かせているわけではありません。

とてもいい!だけど惜しいかな、使えなかった!

そういった原稿をここで知っていただければ嬉しいです。

 

まずは下の数字。こういうのってなんと呼ぶのでしょう? 切絵?貼り絵?

 

©️しゃくなげ荘

 

上のものは、全く活かせなかったというわけではなく、カレンダーには入っています。

ただ、このカラフルな楽しい感じは、悔しいけど出せなかった。

そう、今回の「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」は赤と黒の2色刷りということを最初から決めていたので、この色使いを再現できなかったんですね。

 

このページのどこかに活かされています。

作り手としてはとても歯がゆい思いをした一件なのですが、かといって全ての色を活かそうとすると、カレンダーとしてはとてもわかりづらいものになってしまうのも事実。

カレンダーはやっぱりパッと見て平日と休日がわかるということに価値がある。そういう判断で、他のものも泣く泣く赤か黒のどちらかに変換して使用するという場合が多かったのです。

 

これも、この紙をちぎった感じは再現できない。。

色の問題以外にも、上のような「紙をちぎった」感触。これもなかなか再現するのは難しい。

この手触りが伝わるようなものを、次回は目指したいと思っています。

 

そして下の一枚。あまりにも別次元の一枚。

 

©️しゃくなげ荘

 

立体作品!?

横から見ると良くわからないですよね。ん?カレンダーに折鶴?どういうこと?ってなってしまう。

この原稿、俯瞰から見ると‥

 

©️しゃくなげ荘

 

数字になっています。

これはけっこう悩みました。どこかの月の「2日」で使いたい〜。でもこの立体感は活かせない。。スキャンするときに潰してしまうのもイヤだし。

考えた末に、この一枚はカレンダーに入っていないんです。実は今でも「入れたほうがよかったかも」なんて少し悩んでいる一件でもあるので、もしかした来年次のカレンダーを作る際には復活しているかもしれません。

 

そんなこんなでできあがった「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」、現在は順調に販売部数が伸びていっている状態です。みなさま本当にありがとうございます。

もうすぐ12月がやってきて、そして波乱の2020年も終わります。

心機一転新たな2021年を迎える際に、嶺北の多くの方々の思いがこもったカレンダー、ひとついかがでしょうか?

 

2021年カレンダーTOKUBETUHEN販売開始!!

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会場へ一歩入ってまず感じるのは、懐かしい草の香り。まるで、風が吹く草原の中に入り込んだような、幼い頃の記憶が蘇ってくるようです。

2020年11月16日から土佐町の郷土学習センターで開催されている「草あそび 三人展」。

土佐町在住の山中直秋さん、山中まゆみさん、西峯弘子さんの三人が、2年という時間をかけて嶺北の山々と道々を歩き、集めた草花で作ったリースとスワッグ(花束のようにしたもの)がギャラリーいっぱいに飾られています。

連日たくさんのお客さまが訪れています

 

 

展示されているリースのひとつ:ガクアジサイ、アジサイ、ピラミッドアジサイ、ニゲラ、ヒャクニチソウ、ススキ、コシダ、セリバオウレンが使われている

使われている植物の名前と作者のイニシャルが記された小さな紙の札が、作品それぞれに結び付けられています。

高知県民にお馴染みのイタドリ、アジサイ、ススキなど多くの人が知っている植物もあれば、初めて目にする耳にする植物もたくさん。丁寧に記された植物の名前の数々を見ていると、植物にはそれぞれ名前があるのだということに気付かされます。そして、この作品を作った三人が注ぎ続けてきただろう、植物たちへの温かいまなざしを感じるのです。

 

集めた植物ひとつひとつに、それぞれの名前が書かれた札がついています。さめうらダムで見つけた流木も登場

 

「草あそび 三人展」の2日前、「三人」である山中直秋さん、山中まゆみさん、西峯弘子さんにお話を伺いました。

 

「自分たちも何かやりたい」

「今回の三人展のきっかけとなったのは、2018年の冬、高知県の牧野植物園で開かれた『標本展』でした。それは、園所蔵の標本が30万点揃ったことを記念した展覧会で、僕が作った標本も展示されました。全体の展示の仕方がとにかく素晴らしく、三人三様に深く感銘を受けました。その日のうちに、自分たちも地域で何かやりたいと思ったんです」

と直秋さん。

そのとき感じた「何かやりたい」という強い思いが、今回の三人展を開く最初のきっかけだったと言います。

山中さんのご自宅で話を伺いました

その標本展は「“アートを越えたアート”だった」と、まゆみさん。それからはどこを歩いていても、車で走っていても、常に「アートの目」で周辺の植物を見るようになったそう。

「植物を使って何かやりたい。集めておいたら何とかなる。まず集めてみよう」

それが2年前。

振り返ってみれば、その時すでに今回の三人展に向けての準備が始まっていた。今回の三人展はまさに2年越しの展覧会なのです。

 

材料を集める

三人は嶺北の山や野を歩き、材料を集め始めました。

さめうらダム近くでツヅラフジやクズカズラなどを採り、太さも長さも様々なツルを丸めて編んで乾燥させ、リースの土台を作りました。(昨年の秋、山中さんの家の軒先では丸く編まれたツヅラフジがずらりと干されていました)

山や野で集めた植物が乾燥させている途中でカビてしまったり、2年間たくさんの失敗を繰り返したそうです。

歩き回ることで今まで知らなかった植物に出会い、その名前を覚えていったと西峯さん。

今では嶺北の植物の特徴や生えている場所など、ほぼ把握するまでになったそうです。

天井から下げ、乾燥中の植物たち

 

乾燥させ、種類別に箱に入れて保管する

集めた植物は山中さんの家の一室の天井から吊るされ、乾燥できたものは、いくつもの段ボールに保管されています。

「家中が植物だらけ」

そう言って山中さんは笑います。

 

リースには定型がない

三人は、高知市のリース作家の個展へ足を運んで参考にしたり、インターネットや本で調べたりしながらリースを作り始めました。失敗を繰り返しながら作っていくなかで、教室に行くことも考えたそうです。

けれども、

「習ってしまったら、そのやり方になってしまう」「自分流にやってみよう」

そう気付いてから、自由に思うように作り始めたそうです。

 

乾燥させた植物たちがリースの材料になる。左から シシウド、チガヤ、ラッキョウ(花)、セリバオウレン

直秋さんは、かつて根っからの仕事人だったそうです。それまでものづくりをしたことがなかったそうですが、初めて作ったリースは、ご近所の畑で分けてもらったカラスウリで作ったとのこと。それがとても面白かったといいます。

リースは好き勝手に作って自分で楽しめばいいし、人に渡して喜んでくれればいい。そういう精神を持っちゅうな、というのがすごく気に入った。」

針金を下から巻こうが上から巻こうが、何の問題もない。本には“この材料を用意しなさい”と書いてあるけど、自分の身の回りにあるものを使えばいいじゃないか、と。

 

足元にあるもので楽しめる

そうして2年間、コツコツと制作してきた三人。その数はリースとスワッグを合わせ、185個にもなっていました。

「作るのは楽しい、見てもらうのも楽しい。『三人展』にどんな人が来るのか、どんな反応をするのか。これからどんなことが起こるのかがとても楽しみ」と話してくれました。

「身の回りにある植物たちを少し知ることで、世界が広がってくる。そういう感じになる人が増えてくれれば一番いいなと思う。足元にあるもので楽しめるんだと感じてもらえたら」

そう話す三人は、やり切ったという満足感で満ちていました。

展示されているシロバナタンポポ

「天まで届け!」

最後に、まゆみさんが話してくれました。

「ものづくりは私を支え続けてきてくれた。この三人展を見て、周りの人はもちろん、亡くなった母へも届くことはきっとあると思う」

そして、

「この楽しさが『天まで届け!』という気持ちになるんよ」。

嶺北で育った植物たちに込められた思いは、きっと多くの人に届くことでしょう。楽しさも愛情も人の心に伝播していく。そう思います。

 

山中直秋さん、山中まゆみさん、西峯弘子さんの三人展は、11月25日まで。

会場にいる三人に、ぜひ何でも聞いてみてください。三人は、その作品が持っているものがたりを話してくれると思います。

多くの人に、嶺北の植物の世界、そして、ものづくりの楽しさを感じてもらえたらと願っています。

左から 西峯弘子さん 山中直秋さん 山中まゆみさん

 

「草あそび 三人展」

会期      11月16日(月)〜25日(水) 10時〜16時

会場      土佐町郷土学習センター(青木幹勇記念館)

住所      土佐町土居437 

お問い合わせ  0887-82-1600

 

 

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くだらな土佐弁辞典

しょうたれげ

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しょうたれげ

【形容詞】だらしない

 

例文①: しょうたれげにせずにきちんと洗いや  訳:だらしなくせずにきちんと洗いなさい

 

 

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