「雪渡り」 宮沢賢治作, たかしたかこ絵 偕成社
冬になるとなぜだか宮沢賢治の作品を読みたくなります。「銀河鉄道の夜」「よだかの星」「どんぐりと山猫」…。どれも大好きな賢治の作品ですけれど、一番好きなのは「雪渡り」です。
寒いのは大の苦手ですが、雪渡りで描かれる一面の雪に覆われた野原や森の情景は、泣きたくなるほどに美しく、慕わしく思われ、清らかな寒さの中に身を置きたくなります。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ」「キックキックトントン、キックキックトントン」…。
文体はもちろん、四郎とかん子やオノマトペは何ともリズムがよく、声にだして読めばその都度、素朴な感動に満たされます。この幸福感は、賢治作品を読んだ時にしか味わえない、独特なものであるように思われます。
ここ数日で土佐町もずいぶん寒くなってきました。熱い甘酒と共に今夜あたり「雪渡り」を読み返してみましょうか…。