彼女は大抵、雨上がりにひょっこり現れる。
去年亡くなった姑が、生前よく彼女についてこう言っていた。
「私がここへお嫁に来た頃からずーっとおるがやき」
「草を引きよったら、じーっと横で見よったがね」
「この家の主よ」
大先輩なのだが、彼女が現れるたびに私は挨拶するどころか
悲鳴をあげてしまう。
そんな彼女はヒキガエル。
デカい。
15cmくらいある。
私は“超デカい!!”と思っているのだが、この辺ではこれくらい普通なのだろうか。
その図体の割に動きは素早い。
一瞬目を離すと、遠くへ移動している。
あれがジャンプして飛び掛かってきたら・・・と思うと背筋がゾンゾンする。
なので、いつも刺激しないように気配を殺して通り過ぎる。
私と子ども達はこのヒキガエルが現れるたびに
『おばあちゃんの友達が出たー!!』
と大騒ぎする。
私がおばあちゃんになってもいるだろうか。