「たまたまザイール、またコンゴ」 田中真知 偕成社
「世界は偶然と突然でできている。」
著者の田中真知さんが2度に渡って敢行したコンゴ河下りを描いたノンフィクション。
雄大な自然、全てを笑いとばす人々。オナトラ船。コンゴのどでかい混沌が田中さんの冷静でいて暖かい目線で語られています。
コンゴには行ったことはないのですが、僕も東西アフリカの数カ国を旅したことがあります。ケニア、エチオピア、エリトリア、エジプト、モロッコ、モーリタニア、セネガル、ガンビア…。
アフリカの旅は、他のどこよりも疲れる。田中さんのコンゴ行と同様、僕のアフリカ旅も極端に情報が少なく、交通の便も寝る場所も行ってみなければわからない。
暗中模索のようなそんな旅は、他のどこよりも疲れるのですが、心のどこか別の部分では、とても大きな力を感じれる旅でもありました。
うまく書けないのですが、人が人として生きること以上でも以下でもない、ただそれだけの至ってシンプルな価値に立戻らせてくれるというか。
現代の複雑な社会で身につけたいろいろ余計な記号を、乱暴にぶっ壊してくれるような爽快さは、僕が行った中ではアフリカとインドが群を抜いています。
あ、騙されたりぼったくられたり、ムカつくことが多いのも群を抜いていますってことは付け加えておきます。
石川拓也