「日本史サイエンス」 播田安弘 講談社
データや推論を気象学、物理学、統計学などの知見を活かして日本史における大事件を検証しようという試みです。
・蒙古襲来
・秀吉の大返し
・戦艦大和の謎に迫る
この三つの出来事について考古学者でも歴史学者でもない著者が専門分野の科学を武器に検証していきます。例えば「蒙古襲来」は舟の専門家である著者の計算では、全軍26,000人・軍馬700~1,000頭が一日で日本に上陸できたとは考えられない。「大返し」については食料の手配、全軍2万人の体力の消耗等も考えると、事前の周到な準備なくしては考えられない。
戦艦大和の技術が戦後日本の造船に大きく貢献したことはいうまでもなく、カメラ産業の発展にも貢献、特殊鋼の高い技術力等、戦後の電機産業、機械産業の発展を促した事実も忘れてはならない。具体的な数字を提示しているので、目から鱗のスッキリ感で読み終えました。