土佐町田井地区にある清水屋旅館。現在90歳の森ミネさんが切り盛りする宿です。
築100年以上になるという建物は、正面の引き戸を開けると広い玄関、一段上がった奥には2階へ上がる階段があります。
玄関左側には和室があり、窓際の机にミネさんのミシンが置かれています。ミネさんは洋服の直しを請け負っていて、近所の人が「ズボンの裾を直して」とよく持ってくるのだそう。「私はこの仕事が好きでね。昔は旅館の仕事が忙しくて、両立するのが本当に大変だった」と話してくれました。
この写真は昭和30年代頃に撮影されたもの。雨漏りで屋根を改修したため現在の屋根とは異なりますが、それ以外は当時のまま。薪で沸かすお風呂も健在です。
旅館に面した通りは車が一台通れる程の道幅で、当時の土佐町のメインストリート。人が行き交い「バスが、旅館の壁擦れ擦れに通って行った」のだそう。
近くに国道439号線が通り、人の流れや生活は大きく変化。かつて賑やかだった通りには数軒の店が残り、当時の面影を伝えています。