土佐町早明浦ダムのほとり、上津川地区に住んでいる高橋通世さん。
通世さんは猟師であり、猪や鹿を獲り、さばく。米や野菜を作り、山の木を切り、はちみつを採り、アメゴを飼い、お茶を作り、こんにゃくを作る…。山のことなら何でも知っている、山の達人です。
昨年末、山道で会った時に「春の七草を採りにおいで」と言ってくれたので、1月6日、採りに行きました。
土が近いところで暮らしていると、自分たちの手で七草を収穫することができるのです。
春の七草。
うーん…、確か小学校の国語の時間に覚えたような…。春の七草を採りに来たのに、七草の名前がわからないとは何とも情けない…。
「七草って何でしたっけ?」という質問に、さすが山の達人!通世さんが教えてくれました。
【春の七草】
・ごぎょう
・はこべら
・なずな
・すずな(カブ)
・すずしろ(大根)
・ほとけのざ
・せり
調べてみると、1月のこの頃、芽吹いたばかりの若葉を食べると、邪気を払い万病を除くと古くから言い伝えられてきたとのこと。江戸時代に「七草粥」として広まり、今へと受け継がれて来たようです。
いざ、七草さがしへ!

通世さんの家のそばで「はこべら」の群生を見つけました。「ニワトリにあげると美味しそうに食べるやつや!」と息子が言っていました。

こちらが七草の「ほとけのざ」。山へ降りる斜面に生えていました。紫色の花が咲く「ほとけのざ」もありますが、それは七草の「ほとけのざ」ではありません。

「じゃあ、田んぼに行ってみようか!」と通世さんが案内してくれました。上津川地区で田んぼを作っているのは今は通世さんだけ。標高600メートルにある田んぼのさらに200メートル上から水を引いているそうです。

大きなかぶ!「すずな」はカブのことです。お漬物用にもたくさん抜きました。

田んぼの畔に生えていました。小さな白い花を咲かせているのが「なずな」。土にぴったりとくっつくように生えているのが「ごぎょう」。ごぎょうは春になると黄色い花をつけます。

こちらは「せり」。夏には田んぼに太い根をはるので、草取りが大変!でも、お浸しやごま和えにすると美味しい。通世さんは、お正月のお雑煮にさっと湯がいたせりをのせたそうです。

これが「春の七草」。左から、せり、ごぎょう、ほとけのざ、なずな、はこべら、すずな(かぶ)、すずしろ(大根)。 すずなとすずしろは、実の方をコトコト煮てお粥に加えます。
上津川から帰って来てから、道ばたの草たちに目を向けると「こんなところに “ごぎょう” が!」とか「これは “ほとけのざ” では?」と気づくようになりました。
今までもぼんやりと視界に入っていただろうものが、急にはっきりと名前を持った存在になったのです。
昔の人も同じように、道ばたの七草を見つめていたのかもしれません。
1月7日の今日、この「春の七草」で七草粥を作ろうと思います。